第9話 ページ9
「お前らすっかり仲良しだな」
凛の言葉に(人1)は嬉しそうに笑う。
「うん。
私、宗介くんとお友達になれてよかった」
「だとよ宗介。お前はどうなんだ？」
「俺は...」
バツが悪そうに目を逸らすが、
隣から熱い眼差しを感じる。
「まあ...よかったと思ってる...と思う...」
「なんだそれ」
「えへへ。宗介くんありがとう」
宗介はハンバーグを一口で平らげると
次に箸をトンカツに伸ばした。
「見ろ(人1)。宗介のやつ照れてるぞ」
「ほうほう。これは照れてるんだね。
覚えておくね」
「...お前ら。食べる時間なくなるぞ」
「ちなみにこれは怒ってるようで照れ隠し」
「そうなの？凛くんすごいね。
宗介くん検定一級いけるね」
「お、マジか。受けてみるわ」
宗介は眉間に皺を寄せて
頬をひくつかせながら口を開く。
「お前ら早く食べろって、
時間なくなっても知らねえぞ」
「あ、これは本気だ。急げ(人1)」
「了解！でもちゃんと噛まなきゃダメだからね」
はあ〜とため息をついて
宗介はガシガシと頭をかいた。
その様子を見て(人1)は凛と顔を見合わせて笑う。
そして食事を再開すると
相変わらず美味しそうに食べた。
(明日のハンバーグは消えるな...)
宗介はハンバーグを頬張る横顔を
眺めながらそんなことを考えていた。
_____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____
「お、(人1)か」
「宗介くん。お邪魔してます」
宗介が風呂から戻ると(人1)が凛の机の上で
カリカリとペンを走らせていた。
「凛くんなら飲み物買いに行ったよ」
「そうか。
...今日も英語か」
ノートを覗き込むといくつかの英文が目に入る。
「うん。外国語は独学しようとすると難しくて...
それに凛くん留学してたから
実用的な英語もわかるし、
英語の発音とか綺麗だから」
「あー確かにな」
凛が英語の授業ではよく先生に
手本として読まされていることを思い出す。
ポタ_____
前屈みになっていたから
髪に付いていた水滴が数滴、
ノートと(人1)の腕に落ちる。
「っと...すまん」
宗介は少し荒っぽく、それを手で拭き取る。
宗介のゴツゴツとした手が柔らかい腕に触れた。
「っ...」
「...どうした？」
「う、ううん。何でも」
「...そうか？」
宗介は傍を離れて下の段のベッドに腰かけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：学 | 作成日時：2018年9月14日 5時
