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第1話 ページ1

「暑っつい...」



隣で歩く凛は学校の制服である

ピンクのポロシャツをパタパタとはためかせる。

襟の隙間から見える

逞しい筋肉は汗で湿っていた。



セミが鳴き始めたこの季節。

日照りも強くなり、

風も生温く、常に湿気を持っていた。



「にしてもここの学校、

廊下にはクーラーついてないんだな」


「そこまで金持ち学校じゃねえよ。

教室や寮に最新の空調が完備されてるだけでも

優遇されてるほうだろ」



廊下を歩くだけで吹き出す汗に億劫になる二人。

すると中庭の端で掃除道具を洗う

小柄な体を見つける。

凛は軽く手を振りながら声をかける。



「よ。(人1)。昼に会うのは珍しいな」


「あ、こんにちは。凛くん。宗介くん。

今日も暑いね。大丈夫?」


「歩いてるだけであちい...

(人1)。お前その格好暑くないのか?」



宗介の言葉に(人1)は苦笑いする。



「流石に暑いかな...

あんまり風通し良くなくて...」



汚れないように長袖の白い清潔感のある掃除服は

見るからに暑そうだった。



「熱中症だけ気を付けろよ」


「うん。ありがとう。

休憩はこまめにしてるから大丈夫」



額には汗が滲んでいて、

頬も暑さで赤くなっていたが

変わらぬ笑顔を向ける姿に

宗介と凛は互いに顔を見合って微笑む。



「それじゃあ戻るわ。頑張れよ」


「うん。授業頑張って」


「ああ。じゃあな」



立ち去る二人に(人1)は手を振る。



「さて、

今日は早く終わらせて作業しなくっちゃ」



バケツの中にはられた水を流すと

周りの温度が僅かに下がったように感じた。


_____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____



「気合い入れてけー!!」



大会が近くなり練習メニューはさらに厳しくなる。

飛び込み台に立ち、

宗介はエメラルドグリーンの瞳を

覆うようにゴーグルをつける。

ガタイのいい体には芸術作品のような

鍛え上げられた筋肉が付いていた。



ピッ_____



短いホイッスルの合図とともに水の中に飛び込む。

荒々しいバッタは水を抉るように水をかく。

かき分けた水の間に大きな体が滑り込む。



一本を泳ぎきると宗介は不意に肩に手を触れる。

そして、凛の元へと寄り、声を潜めて告げる。



「凛。俺これから用事あるから先に抜ける。

門限までには戻る」


「またか?

...メニューはこなしてはいるが

大会も近いんだぞ」


「悪いな」

第2話→



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作者名: | 作成日時:2018年9月14日 5時

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