第八話 ページ8
「モリ、本当に悪かった」
「ううん。平気だよ。
(人1)が無事でよかった。
でもソウはどうしてここに？」
廉に車椅子を押されて、家の中にはいる(人1)を
俺はソウと共に門の前で見ていた。
「...実は空に言われてたんだ。
あいつが友達に遠慮して、
いつも一人で帰ってるかもって」
「ならどうして引き止めなかったの？」
「あいつがそれを選んだから」
ソウの言葉に俺は息を呑む。
「(人1)は出来ないことを理由に
何かを諦めるって事はしない。
今回のことだって、あいつが必死に足掻いてるのに
それを無理だって言って止めたら、
(人1)の努力を否定することになる」
「けどソウは...」
「けどそれが間違いなら俺は止める。
(人1)の努力を否定することになっても、
あいつに嫌われたとしても、
(人1)が傷付くことになる前に、俺は止める」
敵わないな...
そう思っているとソウは視線だけ俺に向けて笑う
「だけど、モリが気付いてくれてよかった。
(人1)はモリの事、好きみたいだしな」
その言葉にドキリとしてしまう。
"違う"と分かっていても思わず期待してしまった。
「ま、今回の事でしっかりとお灸を据えれたから、
しばらくは大丈夫だろ」
「そう...だね」
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「隊長！！(人2)っちゃんを確保しました！」
「よろしい！！荷物はどうした！」
「隊長！！(人2)っちゃんの荷物はこちらに！！」
「中に危険物はないか！！」
「女子力高めの
救急セット、裁縫セットを確認！！」
「怪我、衣服のほつれが起こっても問題なし！
では帰路へと向かう！！」
「イエス！マム！！」
廊下を歩いていると
背後から女子たちの変わった会話が聞こえてくる。
振り返るとそこには(人1)と友人達がいた。
廊下にいた他の生徒も何事かと
目線を彼女たちに向ける。
その中心にいる(人1)は
恥ずかしそうに真っ赤な顔を俯かせていた。
「在原軍曹を確認！！
敬礼！！」
隊長と呼ばれていた女子生徒が俺の方を向き、
敬礼すると他の友人達もそれに習って敬礼する。
「今から(人2)っちゃんと帰路へと向かいます！！」
「...くっ...お願いします」
「モリ！！笑ってないで助けて！！」
車椅子を押される(人1)に手を振り、
楽しそうなその後ろ姿を見送った。
(...軍曹...結構上の位だな)
助けを求める(人1)の声を聞きながら、
ぼんやりとそんなことを考えていた。
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作者名：学 | 作成日時：2019年2月10日 2時
