第七話 ページ7
「...モリ。ごめんなさい。
結局モリに迷惑かけた」
「ううん。
気にしな_____俺は平気だから」
守人に車椅子を押されて星空の下で二人は
(人1)の家へと向かった。
「遅かったな」
「...っ！！」
家の近くに着くと聞き慣れた声が耳に入り、
バッと二人は顔を上げる。
「姉さん！！」
廉が走り寄って、(人1)を抱き締める。
宗司は玄関の前でたったまま、
まっすぐこちらを見ていた。
「ソウ...」
「モリ、悪かった。
(人1)に付き添ってくれてありがとうな」
宗司は礼を告げると(人1)の元へ歩み寄る。
廉はそれに気付くとそっと(人1)から離れた。
「(人1)。
お前、自分がやった事、分かってるよな」
「......」
「待ってソウ！(人1)は_____」
「モリ、少し黙ってろ。
高熱出て倒れた時、
嘘つかないって...約束したよな」
宗司は膝を折り、
俯く(人1)の顔を両手で上へ向かせて
目を合わせる。
「俺と廉...みんなに嘘ついて、
お前はそれで満足かよ」
「違っ！！」
「何が違うんだよ。
約束破って勝手なことして、
結局モリに迷惑かけて_____」
宗司は(人1)の腰に手を回し、
すっと顔を近づける。
「何か起こる前に
モリが気付いてくれたから良かったが、
何か起こったらどうするつもりだったんだ？
こうやって、知らない奴に身体触られて、
無理やりキスされて
それ以上の事だってされるかもしれねぇ...
車椅子だと逃げれねぇぞ」
宗司の鋭い瞳に、冷たい口調に、
(人1)の歯はカタカタと音を立てた。
「足が動かねぇから何も出来ないんじゃない。
五体満足でも出来ないことはいっぱいあるんだよ。
それを互いに補っていくのが仲間で、友人で、
...俺(恋人)の役目だ。
出来ないことあるなら頼れ」
宗司は腰に回していた手を頭の上におき、
そっと撫でる。
「頼ることに遠慮するなとも、
迷惑かけてると思うなとも言わねぇよ。
...ただ、好きなやつの前ではカッコつけさせろ。
お前の彼氏はそういう奴なんだよ。
分かったか、(人1)」
「うん...ごめんなさい...
ソウ...ごめんなさい」
泣き出す(人1)の身体をそっと引き寄せて、
宗司は優しく背中をさすった。
「嫌な言い方した。悪かった」
(人1)は首を横に振って、
宗司の身体に両手を回した。
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作者名：学 | 作成日時：2019年2月10日 2時
