第五話 ページ5
「あれ？(人1)はいない？」
「あ！在原くんだ。
(人2)っちゃんなら今図書室だよ。
あの子図書委員だから」
「そっか。ならこれ(人1)に渡して貰えるかな？」
守人はそう言って小さな手提げカバンを差し出す。
「いいよー！
...ってこれ何？本？」
「うん。(人1)が読みたいって言ってたから」
「へぇ...あ！在原くんも
大原くんと一緒にバンドやるんでしょ！
頑張ってね！楽しみにしてる！！」
「ありがとう。頑張るね」
にこりと笑う守人の顔を見て
(人1)の友人らは顔を赤らめて喜ぶ。
「前から思ってたんだけどさ。
在原くんはさ、
友人の中で恋人同士がいるって
気まずくならない？」
「...ならないかな。
(人1)が嫌がるからソウは人前ではあんまり
恋人らしいことはしないし、何より空が怒るしね」
守人がそう口にすると、
女子たちは大原くんなら怒りそー！
と、手を叩いて笑う。
「それじゃあ俺は戻るね。
それ、お願いします」
守人は笑みを浮かべて
最後にそう口にし、教室をあとにした。
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自販機のボタンを押すと飲み物が
取り出し口に落ちる。
それを取り出し、
蓋を開けるとプシュッと音を立てた。
「珍しいな。モリが炭酸だなんて」
「ソウ...」
宗司も自販機で飲み物を買うと
守人の隣でそれを飲む。
「...ったくあっちぃな」
「だね。もうすぐ夏だし」
「車椅子だとアスファルトに近いし、
気を付けるよう言っとかねぇとな」
「...(人1)の事、心配？」
「まあな。今は友人と帰ってるみたいだが、
途中で別れるみたいだし」
そっかと守人が呟くと
宗司はそれを横目で見る。
「...さて、戻るか。
練習始めるぞ」
「うん」
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「じゃあ俺は職員室に鍵返すついでに
用があるから先帰ってて」
「俺たち待ってるよ」
「ううん。先生に聞きたいこともあるから
時間かかると思うし、待たせるの悪いよ。
じゃあ、また明日」
空たちに別れを告げると守人は職員室へ向かう。
「_____お疲れさん。
帰り気をつけろよ」
「はい。失礼します」
用を済ませて昇降口に出ると
夕日がほとんど落ちて暗くなっていた。
街灯に照らされるひとつの小さな人影を見て
守人は呟いた。
「...(人1)？」
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作者名：学 | 作成日時：2019年2月10日 2時
