第三話 ページ3
「(人2)っちゃん聞いた？
大原くん達、
バンドやるんだってね！」
「あーそれ私も聞いた！
三年生を送る会でバンド演奏するんでしょ！」
「うん。知ってる。
楽しみだね」
学校では三年生を送る会で
空たちがバンド演奏をする事で噂になっていた。
今までは規則が厳しく、
毎年同じような出し物しかされなかった為に
飽きが来ていた。
しかし今回、空たちがバンド演奏をするという事に
なったので生徒達の期待は膨らんでいた。
「でも、
(人2)っちゃん的には寂しいんじゃない？」
「...？どうして？」
顔をキョトンとさせてそう尋ねる(人1)。
「だって彼氏の神楽坂くんだけじゃなくて、
いつも仲良くしてるみんな、
今練習で忙しいんでしょ？」
「みんな頑張ってるからね」
「でも、みんなでやるなら
(人2)っちゃんも誘ってくれたらよかったじゃん」
「私が出来るのピアノとお琴だけだし、
ピアノは廉の方が上手で、
お琴はバンドに合わないよ」
そして、苦笑いを浮かべていた顔を俯かせ、
(人1)は視線を下に向け、ぽつりと呟く。
「それに...私がいても何も出来ないから」
白い手が膝の上に掛けられた
青いブランケットを握りしめる。
「(人2)っちゃん...」
すると別の友人がパンッと掌を叩く。
「ならやることは一つ！！
私たちとデートしよう！！」
「えっ？」
「そうだね。(人2)っちゃん、
神楽坂くんたちとばっかり遊ぶんだもん
私たちにもなーんか遠慮がちだし」
「そー！そー！
私たちだって(人2)っちゃんと
楽しくお出かけの一つや二つしたい！！」
他の友人たちも楽しそうにそう口にした。
「えっと...」
戸惑う(人1)に友人たちはにこりと笑いかける。
「お洋服見たり、スイーツ食べに行ったり、
女子同士でしか行けないところ行こう！」
「いいね！何なら下着とかも見に行く？」
「うんうん！
(人2)っちゃんのお胸事情も気になることですし？」
「あーそれ気になる！(人2)っちゃん、
パッと見分からないけどおっきいもんね」
「ええっ...！！」
顔を赤らめて胸を隠す(人1)。
その反応に友人たちは声を上げて笑う。
「...だから行こう？(人2)っちゃん」
優しく微笑む友人達の顔を見て
(人1)は心配してくれているのだとようやく気付く。
「うん...行きたい。
行っても...いい？」
「もちろん！！」
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作者名：学 | 作成日時：2019年2月10日 2時
