第十一話 ページ11
体育館の中に多くの生徒が集まる。
その中には(人1)もいた。
壇上に
全生徒と教職員たちの目線が集まる。
その目線の先には空たちがいた。
望はベース、廉はキーボード、
宗司はドラム。
空と守人はギターと、
二人の前には二つのマイクスタンドが立っている。
緊張の面持ちの友人たちの中で、
(人1)は一人の友人に目線を送った。
(...空)
緊張の中にどこか不安を抱えた表情をする空。
(大丈夫。空の曲は、歌は、想いはきっと届く)
無意識に手を祈るように握る(人1)。
すると、空の隣にいる守人が空に何かを伝える。
その声をマイクは拾わず、
何を言ってるのか壇上以外聞こえなかった。
しかし、守人の言葉を聞いてから
空は振り返り、
同じく壇上にいる友人たちに目を向ける。
彼らは笑みを浮かべて頷き、空に何かを伝える。
そして、何かを受け取り、
力強く頷いた空は前を向く。
(空...！)
思わず笑みが零れる。
壇上の空に笑顔が戻っていた。
そして、不意に壇上の空と目が合う。
_____私も、みんなもいる。大丈夫。
口パクで伝えると空は満面の笑みで頷き、
ギターを握る手に力を込める。
宗司のステッキが数回合わさり、次の瞬間、
音楽が始まった_____
_____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____
「(人1)ー！！」
演奏を終え、戻ってきた空が(人1)に飛びつく。
それを笑顔で迎える(人1)。
「良かった...よかったね...そ...ら」
「わー！！泣かないで！！
ソウに殺される！！」
「む...り...っ」
両手で顔を覆って涙を流す(人1)と
近くに宗司が居ないとこを慌てて確認する空。
(人1)は涙を拭き、笑みを浮かべ、空に尋ねる。
「っ...空...楽しかった？」
「うん！最っ高！！」
空の満面の笑みに(人1)は笑みを浮かべた。
「(人1)。ありがとね。
(人1)もモリたちと一緒だった」
「一緒？」
「うん。
みんな、"いるよ"って言ってくれたから
だから俺、みんなで音楽できた。
俺たちの曲、ちゃんと届けれた」
だからありがとうと口にする空。
かつて音楽で苦しんだ少年が
音楽によって救われたことに
(人1)は目を細めて喜ぶ。
「空。やっぱり私は空の作る曲、好き。
だけど、今日聞いた空と、モリとソウ、
廉と望くんの五人で作った曲も私は大好きだよ」
(人1)の言葉に空は「俺も！」と口にした。
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作者名：学 | 作成日時：2019年2月10日 2時
