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「確証はまだないが、モンド中を探しても血痕は見られなかった。ということはAがモンドで殺害されている可能性は低い。」
「そこで」とガイアは突然ジンに問う。
「代理団長はAの戦闘能力の高さを知っているか?」
「もちろん知っている。何度か騎士団への勧誘をしたこともあった。」
そしてジンはため息まじりに「まあ、断られてしまったのだけど」と付け足した。
「問題はファデュイはそもそもなぜ西風騎士団に用があったのか、だ」
「…」
ガイアはジンが無言で考え込んでいることを横目で見ながら、さらに続ける。
「ファデュイは人員の問題で、モンドからも派遣で何名かファデュイへ連行しようとした事があった。おそらく、今回の騎士団への要件もそれに関する事だったのだろう。」
「…そうか。Aはもしかしたらファデュイの条件を飲んで、自ら同行したのかもしれない」
「そういうことだ。なにせAは神の目が無いにも関わらず、相当な剣術を持っているからな。ファデュイがそれを何らかの形で目の当たりにしたら、欲しがらないわけ無いだろ?」
しばらく沈黙が流れる。ジンはこうしてはいられないという風に、あからさまに落ち着かない様子を見せた。
「こうしている間にもAが…」
「まあ落ち着けってジン代理団長。Aが飲んだ条件が何か明確ではない以上、下手に動くとかえってアイツに迷惑がかかるかもしれない」
「…それもそうだが…」
「だから今は、Aについての情報をあつめたらどうだ?俺は少しアテがあるからそこに聞いてみる」
そう言いながらガイアは部屋から出て行った。一人になったジンもリサを探しにガイアを追うようにして部屋を後にした。
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作者名:ぽの | 作成日時:2022年2月2日 1時