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ガイアにそそのかされて来たものの、やはり騎士団本部へと足を踏み入れるのはいつでも億劫なものである。
だが、モンドの住民が危険に晒されたのだ。自分だけ知らぬ顔などできない。そう考えると、騎士団本部への訪問も大したことではないと思い直せた。
以前は自分も通っていた場所。かつての職場を早々忘れることはない。ディルックは慣れた足取りでジンの執務室へと向かった。
ノックをしてジンの返事を待つ。
すかさず「どうぞ」という声が聞こえてきた。迅速な対応からジンの真面目な性格がにじみ出ている。
「…ディルック先輩、来てくれたんですね」
「先輩はよしてくれ。ガイアの代わりに報告に来ただけだ」
そう言われてジンは苦笑いしながら、ディルックに席に着くよう促す。ディルックはそれに軽く会釈をしてから着席した。
「それでは、早速話を聞かせていただきたい」
ディルックは頷くと、ジンにガイアと話し合った現段階での推測や情報を報告した。
「なるほど…。では何名か騎士団から璃月に派遣して、ファデュイの動きを監視しよう。」
ジンはそう言った矢先、「しかし…」と言って少し眉をひそめた。ディルックが不思議そうに見ていると、ジンは小さくため息をつきながら説明した。
「…。ファデュイも人員不足と聞いていたが、実は騎士団も同じような状況なんだ。数名だけの派遣でも、うまくやりくりする必要がある…」
ディルックは即座にこの後ジンから発せられる言葉を予知した。
「そこで…ディルックに頼みがあるのだが…。今回だけでいい。騎士団に協力してくれないか?」
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作者名:ぽの | 作成日時:2022年2月2日 1時