親愛なる貴方へ愛憎渦巻く紅炎を=3 (ページ9)

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だってあなたは私のページ9

「？よく分からないけど、Aちゃんは怖くないかな！それよりも、さっきすれ違ったエンデヴァーの方が怖かったな〜」

『すれ違っ……た？』

身構えて聞き返す私に、透は横の椅子に座りながら答えた。

「うん、この病室の近くでウロウロしてたんだけど、私が来たのに気づいたらそのままいなくなっちゃって……こぉんなしかめっ面しててね」

袖の裾を使って指の形を可視化して顔の眉毛辺りへ持っていき表現する。

とても分かりやすいし、その顔がありありと浮かんだが……

『ぷッはは、ははははは！』

何だかおかしくて笑ってしまう。本人は至って真剣にやっているのだから尚更笑えてくる。

「もー！本当に怖かったんだよー！」

ベッドの端に手をついて立ち上がり、プンスカと怒る透。その様子も何だか可愛くて、また吹き出してしまう。

不思議。あの人の話だったのに、怯えが引いた。

再びストンと座ると、

「まぁ許してあげる。Aちゃん、やっと笑ってくれたし」

『ぇ』

「Aちゃん、ずっと怒ってるか泣いてるかしかしないんだもん。肩の力抜いて、１回笑った方がスッキリする時もあるよ？」

どうして、ここまでしてくれるの

「あ、そういえば差し入れしたの分かった？ちょうど心操くんと鉢合わせてね、一緒に控え室に置いたんだ。保健室直行したなら意味無いことに後から気づい」
『どうして、そんなに優しいの……？』

控え室の差し入れ、ちゃんと見つけたよ。でも私はそれから逃げた。2人の優しさを無下にした。

『私は、優しくしてもらえるほどいい子じゃないのに、何で』

「え？そんなこと気にしてたの！？

あーもうっ！しょうがないなー、特別に教えちゃうからよく聞いてね！分かってなかったとかかなりショックなんだけどな～。だってAちゃんは私の」

風が、吹き込んだ。

「大切なお友達で、最高のヒーローだから」

『友達……それだけで？それにヒーローって』

意味が分からなかった。ヒーローなんて、そんな大層なことした覚えがなかった。

「ふふっこの話するの、ちょっと恥ずかしいな…………まぁ、Aちゃんは覚えてないと思うけど、私達の初対面って、入学時じゃないの」

私、影薄いから仕方ないんだけどね！と自嘲気味に笑ってから、透は話し出した。