親愛なる貴方へ愛憎渦巻く紅炎を=3 (ページ8)

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大袈裟な女の子ページ8

目を開けると、真っ白な天井が目に入った。

「起きたのかい？ふぅ……よかった」

リカバリーガールの声がして、保健室に運ばれたんだなと理解した。

『リカバリー、ガール……爆豪は！？痛っ』

「あーもう、ほらお水。１回落ち着くさね……あの子は無事だよ、お前さんとの試合の後に暴れるのを落ち着かせるのには苦労したさね」

『そう、ですか』

起きてコップを受け取る。

爆豪は、無事。
はああああ、と大きく息を吐く。よかった。繰り返さずに済んだ。

この辺りの人払いはしておいたさねと言い残し、リカバリーガールは部屋を出た。

今は、爆豪と焦凍の試合を行っているようだ。勝った方が優勝。それに応じて私の順位も決まるらしい。

まぁ、今となってはそんなことどうでもよくなっていた。そもそも勝てたからと言って、あの人が振り向くとも限らないんだ。

あぁ、本当に私って何なんだろうなぁ……人を傷つけるだけ傷つけて、何のフォローも出来やしない。

視界がぶれる。

関わる人みーんなに悲しい顔させて、何がヒーロー志望だ。

『……馬鹿みた─』

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ!扉が勢いよく開いた。人払いしたんじゃなかったのかい！

今回はカーテンなど何も遮るものがなく、入室者と目が──合わなかった。

「失礼します！Aちゃんっ元気！？大丈夫！？」

『っ！透……』

「怪我はー、治してもらえたんだねよかったぁ。左腕はまだ重症みたいだけど！」

『……何しに、来たの？』

やってきた透明少女は、長袖のジャージを忙しなく動かして、時に飛び跳ねて、弾んだ声で会話を続ける。

「何ってー……何だろう？お見舞い？労い？」

大きく斜めに体を傾けて、腕を組んで、小首を傾げる仕草をする。

「何はともあれ、“お疲れさま”を言いたかったの。かっこよかったよ！」

『かっこ悪い、の間違いじゃなくて？』

自暴自棄になっているな。でも、変に取り繕うよりずっと楽だ。今更何言ったって変わらないし。

「あー、確かに爆豪くんにやられっ放しなのは悔しかったなぁー。いつものAちゃんなら絶対負けないのにー！って歯噛みしてた」

『……別に真面目に答えなくていいよ』

あ！そうだった！？ごめん！と、手を口元に持ってきたり、顔の前で合わせてぺこぺこしたり、落ち着きがない。

自販機の前でも思ったけど、ホント何なんだこの子は。いちいち動きが大袈裟だ。

『というか、爆豪戦だけの話じゃなくて……全部、見たじゃん透は。嫌にならないの？私が怖くないの？』