親愛なる貴方へ愛憎渦巻く紅炎を=3 (ページ6)

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【こいつの炎は、もっと】ページ6

安心した。

『……うん、絶対しない』

元に戻ったと、俺の知ってる轟Aだと。

だが違った。試合が始まって数回の手合わせで分かった。

違う、
Aの炎はもっと熱い。
Aの蹴りはもっと鋭い。
Aの反応はもっと速い。

半分野郎との試合では、俺とやる時以上を出していやがったくせに。

今では要らんもん背負い込んで、精彩を欠いてやがる。

ふざけんな、俺の知る轟Aはこんなもんじゃねぇ！！

俺が追いつきたかったのは、俺が倒したいのは、俺が超えたいのはお前じゃねぇ！！

俺との勝負に変なもの持ちこむな！

それでも捨てられねぇってならもういい。俺がそれを降ろさせてやる。

嫌なら早く調子戻しやがれ！

「さっさと構えろや！！」

やっと炎が出た、今までの比じゃないほど、激しく、攻撃の意志を持った炎が。

そうだ、俺はこれを待っていたんだ。全力のお前をねじ伏せて、完膚なきまでに勝利する！

炎はAを中心に、その姿を隠すほど展開する。Aにしては無駄が多いと違和感を抱くが、無視して右の大振りに入るー

炎に触れた。

！？！？んだこれ……これは違う。冷たすぎる。こいつの炎はもっと、暖かいのに、誰だてめぇは

瞳が、合った。

虚ろな蒼い瞳(・・・)が、こちらを見ていた。

恐ろしかった。

そしてそこに白が灯ると

「あ？」

俺に白い炎が燃え広がった。まだこいつ何か隠し持ってやがったのか！？

だが熱くない(・・・・)。痛くも痒くもないそれを消そうと払う。

消えない。

…………は？消え、ない？？

BOOOMB！！

爆風でも消えない。いつもならこれで払えるのに。

マイク野郎も騒ぎ出した。誰にも予測不能だった。どうにも出来ねぇ。

どうなんだ、このまま消えなかったら……！！

焦りが出てきた。恐ろしくなる。しかし目線をあげると、

「……ハッ」

Aの瞳は橙色に戻っていた。それには恐怖が滲んでいたのに、こんな状況だってのに、笑みが零れた。