親愛なる貴方へ愛憎渦巻く紅炎を=3 (ページ14)

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表彰式ページ14

せっかく、諦められそうだったのに。

『ねぇお父さん、本当は心配してくれてたの？私のことも考えてくれてたの？貴方は何を考えているの？』

これじゃあ、進みたくても進めないよ。

＊＊＊

指示された場所は、戦ってたステージの真下、地下だった。

「Aさん！時間ギリギリ！もう、貴女が最後よ？」

『すみません！』

「ほらほら、台に上がって。説明するから」

急いで表彰台に近づいた。

『うわっなんて締まりのない優勝者』

拘束されて全国放送とか、黒歴史確定でしょ。私のせいでもあるから、それをネタにはできないけど。

しかし困ってしまった。後ろに階段があるのかと思ったがそうではなく、私の目線より高い台には登れそうにない。

でも、

ﾊﾟｷﾊﾟｷﾊﾟｷｨ

一瞬で作り出された氷の階段。それは私の足元から2位の台へと綺麗に繋がっていて。その創造主へ目を向けると、

「A」

手を差し出してくれていた。真っ直ぐこちらを見つめて、そこに厚意以外の他意はなかった。

『ありがとう、焦凍』

振り払われなかったことに少し驚いていたが、優しく手を握り、上までエスコートしてくれた。

昔はどこへ行くにもこうやって、手を繋いで歩いていたな、なんて、懐かしい気持ちになった。

＊＊＊

ダサ、失礼、微妙な登場にはなったが、オールマイトによるメダル授与は嬉しい。

常闇の授与が終わり焦凍に。

オールマイトの質問に答える様を眺めていると、突然こちらを向いた。数秒間見つめあった後、

「でも、俺だけが吹っ切れて終わりじゃダメだと思った。清算しなくちゃならないものが、まだある」

再びオールマイトを見て、そう宣言した。

そして、次は私。

「さてA少女、君も、どこかスッキリした顔をしているが、何かあったのかい？」

オールマイトの背中越しに、透と心操を見つけた。自然と口角が上がった。

『はい、少々……こんな私の側にいてくれる、支えてくれた優しさに気づけました。少しずつ、恩返しがしたいと思います』

「そうか……心配だったが、大丈夫なようだね」

最後に、今日迷惑をかけた人への謝罪を述べ、深々と頭を下げて私の挨拶は終わった。

首にかかった重いメダルの色は銀。目指した色じゃない。

でも、それを誇らしく思えた。

来年こそ、てっぺん取ってやる。

＊＊＊

「……先生はどう思う？Aのあの顔つき」

ｻﾞｻﾞｯ【そうだね弔……緩んでいるのかもしれないね。まったく、せっかくかけたというのに……やり直さなくてはだ】