親愛なる貴方へ愛憎渦巻く紅炎を=3 (ページ1)

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この人になら、ページ1

「まったく！どうしてあんな不衛生な場所にいたんだい！試合が終わったらすぐに治癒しに来なさいな！」

『すみ、ません……』

この人に逆らえる人、いるのだろうか？

隠れていた倉庫から無理やり引き出された。誰にも会いたくない、その一心で息を殺して潜んでいたのに。この人はいともたやすく私を発見したのだ。

「ふう、まあいいさね。ほら、そこに掛けなさいな」

指示に従いベッドの上に腰掛けると、

「失礼します！あの、リカバリーガール、Aちゃん知りませんか！？試合が終わってからずっと行方不明で……」

デク達3人が駆け込んできた。

何で私を探してるんだ。よりにもよって君たちが……何で

幸いカーテンに遮られて私の姿は見えていないようだが……時間の問題だ。リカバリーガールが教えたらそれでもうおしまい。

ああ、やっぱりあそこから動かなければよかった。

八つ当たり以降顔を合わせてない飯田にも、その場面を目撃したデクにも、いや、何も知らないお茶子だろうと、誰だろうと会いたくなかったのに！

見つかれば絶対問い詰めてくる……アレは一体何だったんだって

「見てないさね。まったくどこをほっつき歩いてんだか……見つけたらすぐに治癒しに来るよう伝えておくれ」

声を上げなかった自分を褒めて欲しい。今、この人はなんと言った？

「そうですか。う～ん、どこいるんやろね」

「また1から探そう。ありがとうございました！」

デク達は立ち去った。足音が遠ざかったのを確認してから、カーテンから顔を出した。

『どうしてあんな嘘を』

「なんだい見つかりたかったのかい？」

『そんな事は！』

「なら、これでよかったじゃないか

…………、頼りなさいと、言ったからねぇ」

USJ事件での一言。目頭が熱くなった。あの暖かい手を思い出す。

…………この人になら、話してもいいだろうか。

もう独りで抱えたくないんだ、この後悔を、秘密を、重荷を下ろしたいんだ。

あの地獄の日々を、１か月を、２年間を、そして

…………私が犯した、罪を

『……っリカバリーガール、』

「さあ、手を診せるさね。さっきの試合で酷使していたろう？」

背筋に冷たいものが伝った。カタカタと震え出す。右手をギュッと握る。ダメだ、ダメだダメだダメだ！

こんなの……おぞましいに決まっている。

それにこの苦しみは……っ私への、罰なのだから。

「どうしたんだい！ほら、確かに両腕一度に治癒は出来ないが軽減することなら……！」

そうしてツカツカと歩み寄ると、私の両手を前に引っ張りだした。

「コレ…は…」