【現パロ金カム】紅影 (ページ9)

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第七話白石由竹ページ9

飛び起きた。
驚く程すごい勢いで飛び起きた。

夢で飛び起きるなんて何回もあったけど、今回のだけは違う。

リアルって言うのかな

とても現実的な夢だった。
語彙力のない俺には説明がし難い。

「なぁんかなぁ...何処かで会ったことがあるんだよなぁ」

そんな不可思議な気持ちに自分の心は包まれた。

ドンドン_________

「白石さん。いらっしゃいますか？」

ドアからノック音がする。
この音を鳴らしている男の名は辺見和雄だ。

辺見ちゃんが家にくる時間は...確か...

「えっ！？もう8時！？」

いっきに寝ぼけていた気持ちが吹き飛んだ。
とりあえず、急いで仕事へ行く準備をした。

___________

「辺見ちゃん。ごめんねぇ
せっかく来てくれたのに...」

「いいえぇ。良いんですよ」

何処か不自然なこの笑顔。

流れ作業の中、淡々と作業を進める自分。
なんともつまらない物だ。

まぁ、夜になったら酒やらなんやら買えるし、景気がいい時はキャバクラにも行ける。

そこそこ楽しい人生だ。
人生なんて楽しいもん勝ちだ。

そして今日も時を知らせるサイレンが鳴る。

_____________

「白石さん。白石さん」

「ん？どうしたの」

白石は帰る際に辺見に声をかけられたのでその呼び掛けに反応すると、辺見は携帯の画面を自分に差し出してきた。

何事かとその画面を覗き込むと、それは近くで起こった事故のニュースの記事だった。

「火事...？ってめっちゃ近い所じゃん！」

「そうなんですよ。しかも爆発もあったらしく...」

「え...っ？マジ怖っ」

白石は思った事を素直に反応すると、辺見が隠すようにして耳打ちをしてきた。

「あと、前に話した不気味な社長が経営しているって言った会社があるじゃないですか...」

「え。えーっと...うん。アッタ...ね」

記憶にないが、何故かそれを表に出してはいけないような気がしたので咄嗟に隠す。

「実はあそこでついさっき屋上から落ちる事故(・・)？があったとか...今テレビでやっているんですよ。」

「え...えぇ」

同僚である辺見はいつも以上に怖い事を行ってきたので、白石は突然一気に恐ろしくなって身震いをした。

「や、やめてよぉ.....怖いなぁ」

「全く、街中で飛び降りるなんてどうかしてますよ」

辺見はそう言って軽く笑う。

その笑みはとても狂っている様に感じ、狂気の笑みにも感じた。