不屈の羽番外編【ゴールデンカムイ】ニ (ページ10)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:5,909 hit

番外編32話　薩摩隼人と不屈の松崎（3）ページ10

ドタバタと暴れているうちに、月島軍曹が様子を見に帰ってきた。

月島「！？ちょ・・・何してるんです！！」

鯉登「ぐぬぬぬ・・・！！おおぉぉぉ！！」

A『クソッ・・・このッ・・・』

月島「なにがあったんです！？二人とも落ち着きなさいッ」

月島が私と松崎の間に割って入ろうとする。

鯉登「ズタズタに斬り裂いて豚ん飯に混ぜてやっ」

A『その細い身体に風穴開げで綺麗な花でもいげでやるっぺが！！』

月島「方言を使わないでくださいッ！
何を言ってるかサッパリわかりません！！」

　「尾形少尉！百之助を呼びますよ！！」

月島がそういった途端、松崎の表情が強張った。

月島「貴方、ここ最近上等兵と揉めてこっぴどく叱られたんでしょう！？」

A『・・・チッ』

　『百は怒るど面倒だがらな』

松崎が突然、私から手を放した。

A『鯉登少尉殿』

松崎が鼻血を拭きながら私を睨みつけた。

A『書類の整理が終わったら月島軍曹にチェックしてもらいなさい』

　『・・・・・今日は色々とスミマセンでした』

そう言って軍帽を下にさげて深い溜息をついた。

鯉登「・・・・・・・・ふんッ」

月島「こら鯉登少尉・・・！」

松崎が何も言わずにドアノブに手を掛けた。

月島「どこに行かれるんです？」

A『・・・少し頭を冷やしてきます』

　『月島軍曹。俺はこんな奴の面倒を見るのは二度と御免です』

月島「・・・・そう言わずに――」

月島が全てを言い終える前に松崎は外に出た。

鯉登「嫌な奴だ！！そう思わないか月島ッ」

月島「一体全体どうしたらあんなに怒らせることが出来たんですか」

鯉登「・・・あいつがいきなり怒ったのだ」

月島「余計なこと言ったんじゃないですか？」

私は少し思い出してから呟いた。

鯉登「・・・松崎寿三殿の話をしただけだ」

月島が目を丸くして溜息をついた。

月島「いいですか。松崎少尉殿に父親の話はしてはいけません」

　「禁忌に触れます」

鯉登「・・・はぁ？」

月島が私を立たせる。

月島「次からはもう少し仲良くしてくださいね」

鯉登「断るッ」

月島が私にデコピンをした。

鯉登「私は上官だぞ！！？」

月島「私は貴方の面倒を見る役です。
間違ったことをすれば注意します」

月島が淡々と言い放つ。

月島「松崎少尉を手本にしてくださいね」

鯉登「・・・！！！」

ーーーー

あぁ、思い出しただけでイライラする。

私は深い溜息をついた。