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番外編32話 薩摩隼人と不屈の松崎(1) ページ8

鯉登Side
飛行船でのことを思い出しイライラする。

月島は適当に聞き流すし・・・・。

鯉登「はぁ・・・」


あの男・・・綺麗な顔をして中身は酷いからなぁ。

悔しいが、私がヤツよりも経験も実力も無いことは事実だ。

私達の出会いは最悪だった。


ーー ーー
憧れの鶴見中尉と仕事が出来るっ!!

鯉登「やべ緊張すっ なぁ月島ァ!」

月島「はい」

無表情で隣を歩く小柄な男に声をかける。

鯉登「これから会う奴は鶴見中尉殿のお気に入りで日露戦争で活躍していたんだろう!?」

月島「まぁ。そうですね」

鯉登「どんなやつだ!!」

月島「これから会うでしょう?」

鯉登「気になるんだ!教えろぉー!!」

月島「あ。ここです着きました」

私を無視するとはいい度胸だ・・・・。

月島が扉をノックしてから開けた。


A『・・・・・・・あ』

男が本を机に置いて顔を上げた。

キリッとした眉に地味につり上がった目。

整った唇と鼻に白い肌。

何より、綺麗な日本人離れした瞳。


息を呑むほど、端正な顔立ちをした男がこちらを見つめていた。

椅子から立ち上がり私の前に来る。

A『はじめまして。尾形A、と申します』

男がそう言って軍帽を下にさげた。

鯉登「鯉登音之進だ。貴様が【不屈の松崎】か」

A『・・・・・ははッ 少尉殿は俺のこと既にご存知でしたか』

鯉登「あぁ。松崎寿三大将の御曹司であることも聞いている。父親が立派なだけあって貴様も――」

A『月島軍曹。俺はこの御方とこれから何を?』

・・・・私の言葉を遮るとは・・・。

月島「鯉登少尉殿に仕事の仕方を説明してやって欲しいのです。俺は上等兵の面倒を見なきゃいけませんので」

A『わかりました。お任せください』

鯉登「あ、おい月島ぁ!」

月島「それでは頑張ってくださいね。鯉登少尉」

月島はさっそうと部屋から出ていった。


A『仕事の道具はお持ちですか?』

鯉登「・・・あ、あぁ」

A『それでは報告書の書き方と少尉の役割を俺からも説明させて貰います』

鯉登「うむ。宜しく頼む」


ーー
松崎は仕事熱心だ。

一度手をつけると終わるまで永遠に筆を走らせる。

私はそこまで集中が続かない。

というか楽しくない。


鯉登「暇だ」

A『・・・・』

鯉登「なぁ松崎」

A『尾形です』

鯉登「・・・・なぜ松崎と名乗らない?」

松崎の筆の動きが止まった。

番外編32話 薩摩隼人と不屈の松崎(2)→←番外編31話 薩摩隼人



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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月13日 12時

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