47話 重たい足どり（1） ページ48
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アシﾘパが必死に抵抗するも二瓶は聞く耳を持たなかった。
二瓶「俺はエゾオオカミが最後に見る猟師になりたいのだ」
「そして・・・松崎の飼っている真っ白な烏。アレを――――・・・」
「ここなら周囲を見渡せるな」
二瓶がアシﾘパを木に縛り付ける。
二瓶「わめくのは構わんが舌を噛んでも痛いだけで死ぬことは無いからやめておけよ」
アシﾘパ「誰が自害なんてするか。レタﾗがウェンカムイになって欲しくないだけだ」
二瓶が呟く。
二瓶「人間を殺せば悪い神になって地獄に落ちるというやつか・・・安心しろ。
人間なんぞにそこまで価値はない」
「これは獣と獣の殺し合いよ。
だが生き残るのは俺一匹！！苦しませずに一発で決めてやる」
その直後・・・レタﾗがアシﾘパの基に走ってきた。
二瓶「なんと・・・本当に来たぞ。しかも正面突撃とは」
二瓶がレタﾗに向けて銃を構えるとレタﾗは蛇行して走る。
その様子に二瓶が驚いた声を上げた。
そして、レタﾗが二瓶の腕に噛み付いた。
二瓶がそれに怯まずレタﾗの首に銃口を突きつける。
二瓶が笑った。
二瓶「俺の勝ちだ」
ーー
一方、アンケシ。
アンケシ「ふぅふぅ・・・(女の私には・・・大の男の体重を支えながらこの道は厳しい)」
谷垣「・・・・スマナイ」
アンケシ「大丈夫だ！まだ行くぞ・・・多分こっちだ」
アンケシは耳をよく澄ませながら雪道を歩く。
谷垣「さっきから何を頼りに・・・歩いているんだ」
アンケシ「・・・・・風の音(谷垣ニｼパは悪い人じゃ無さそうだけど。カムイの声が聞こえるとは言えないな)」
その時だった。
上空からケタマシイ烏の鳴き声が聞こえてきた。
アンケシが空を見上げると。
アンケシ「シロ！！！」
シロが宙を旋回する。
そして・・・・。
A『アンケシさーん！』
Aが一人でアンケシの基に駆け寄った。
アンケシ「Aッ！！？杉元ニｼパたちは？！」
A『シロが谷垣を見つけた様だけど二瓶が進んで行ったのと違う方向だったから・・・俺だけこっちに来た』
『杉元がアシﾘパを追っているから・・・安心しろ』
Aがアンケシが支えている谷垣に目をやる。
A『アマッポにかかったのか。
さっき通ってきた道に血が流れていた。
お前もツイてないな。谷垣』
谷垣が無言でAを見つめる。
Aが肩に下げている銃に手をかけた。
アンケシがAを見つめる。
Aは小さくため息をついた。
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2020年9月27日 22時
