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40話 喰い違い(4) ページ27

アンケシSide

ー暖かいものに・・・ウェンカムイなんて宿っていないからー

「【アチャの手は・・・暖かいね。だからアチャはウェンカムイじゃない】」

「【・・・・私は別さ。いいかい?アンケシ】」

「【うん?】」

「【その名の通りだ。過去を捨て―――】」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

A『アンケシさん。アンケシさん。
大丈夫?』

アンケシ「・・・・うぅ?A?」

肌寒い。辺りが暗い。いつの間にか夜が来たんだ。

A『食事中にいきなり倒れたと思ったら眠ってるだけだったから取り敢えず横にしたんだけど』

アンケシ「あれ?アシリパたちは・・・寝てる」

Aが優しく微笑んだ。

A『そりゃあ。もう夜中ですから』

アンケシ「貴方は寝てないのか?眠くない?」

A『ううん・・・ただアンケシさんがあまりにも静かに眠るもんだから。不安になった』

アンケシ「あ・・・カムイの声を聞いたら大抵はこうなるんだ。調子がよかったら平気なんだけど」

Aが眉を伏せた。

A『悪かったな。無理に力を使わせたんだろう?』

アンケシ「いや。今日はカムイも機嫌が良かったのか会話が続いたから余計だった」

いまも、十分に眠たいけど。

アンケシ「ふわァァ・・・」

A『寒いな。流石北海道』

アンケシ「Aは神奈川だったか?」

そう聞くとAは一瞬嫌そうな顔をしてみせた。

A『俺は茨城だよ・・・で悪い夢でも見てたの?』

アンケシ「なぜだ?」

Aが自分の頬を触りながら私を見つめた。

A『泣いてるよ。アンケシさん』

アンケシ「え?泣いてる?」

言われて触れば確かに、濡れてる。

A『泣いてるから起こしたんだよ。
悪夢は見たくないだろうから』

アンケシ「悪夢じゃない。アチャの夢だった。だから泣いたのかも」

A『アチャか。そっか』

Aがゴロンと横になった。

A『思い出して泣けるほどいいお父さんだったんだな。アンタのアチャは』

アンケシ「うん。そうだ・・・Aのアチャは?」

A『・・・・忘れた。どんな人だったかな』

もう、亡くなっているのか?

A『アプンノシニヤン。アンケシさん』

アンケシ「おやすみ。A」

寒い・・・。

そう思っていたら、私の背中が急に熱くなった。

誰かと思えば白石だ。

アンケシ「くっさ・・・でも暖かい」

目の前で横になっているAの背中に腕を回す。

Aは静かに寝息を立てていた。

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月27日 22時

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