不屈の羽【ゴールデンカムイ】弐 (ページ26)

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23話　逃走（2）ページ26

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先程までAたちが寝泊まりしていたクチャの前に―――。

谷垣「火の始末をしたばかりですね。長靴を履いた男と鹿皮の靴の子供。アイヌ猟師の親子か・・・」

第七師団が来ていた。

谷垣がクチャの中を覗き玉井伍長に報告する。

玉井「尾形上等兵ほどの男が猟師の親子にやられたとは思えんが・・・何か知ってるかも」

野間「単にひとりで滑落しただけだと思いますがねえ」

野間がポツリとそう呟いた。

岡田「容態は？」

玉井「一度だけ意識を取り戻したきりだ。アゴが割れて話せなかったがそのとき力を振り絞って指で文字を書いた」

――――ふじみ。

野間「俺は不死身だとでもいいたかったのでしょうかね？たしかにあの怪我でその川に落ちて死ななかったのは運がいい」

玉井伍長が野間上等兵の考えに首を振る。

玉井「いや・・・・・やっとの想いで我々に伝えたのだ。軽口のはずが無い」

谷垣一等卒がポツリと呟く。

谷垣「失踪した松崎少尉・・・見つかると良いのですが」

岡田「俺はあの人が苦手だな。何を考えているのかわからん」

玉井「まあ・・・鶴見中尉が言うには見つけ次第連れ戻せとのことだったが・・・」

野間「尾形上等兵が許すわけないでしょう。
・・・こちら側に引き入れるんですか？」

玉井伍長がゆっくり頷いた。

玉井「松崎少尉がこちらの味方に付けば・・・我々は有利になるだろう」

「ガアガア」と烏の鳴き声が辺りに響く。

真っ白な羽が風を切り、主人のもとにへと飛んでいった。