227話 道理と覚悟（1） ページ47
第七師団は流氷傍から帰ってきた連絡船に乗り込んだ。
菊田「出てこい杉元佐一ッ」
「松崎A！！」
船長「さっき降りたぞ」
船長が顔を出した。
宇佐美「降りた？」
菊田「嘘こいてんじゃねえッ 短艇が全部あるじゃねえか！！」
「船内を探せ」
兵士が船内を探し歩くが、誰一人として見つからない。
問い詰められた船長が叫んだ。
船長「あっちで停止したときあいつら勝手に降りてったんだ」
「流氷の上を歩いて逃げてったんだよ！！」
ーー
Aたちは先程、アシﾘパとアンケシと白石が集めた白い布を被って流氷の上を歩いていた。
白石「やったぜ。追ってこねえ！！船乗煙が離れていく。ひとまず逃げ切った」
A『流石に断念したか・・・助かったよ。
アシﾘパ、アンケシさん』
杉元「この時期はあっちの海岸まで流氷が続いてるらしい」
「連絡船に乗ってたら稚内まで２時間の距離まで来てたからなんとか歩いてたどり着けるだろう」
シロがAの肩で毛繕いをする。
A『お前の毛も白くて良かったな』
シロが小さく「ガア」と鳴いた。
白石「なんかホッとしたらおなか空いたね」
アシﾘパ「トッカリが氷の上で寝てるかもしれない・・・探せ杉元 松崎」
杉元とAが双眼鏡を取り出し辺りを見回す。
白石「魚で良いんだけどな」
白石がその場に座り込んだ。
白石「おや？なんかちっこいのがいっぱい泳いでる！！」
アンケシ「カワイイ」
杉元がそれに反応した。
杉元「クリオネだ！！雑誌で見たことある」
「【流氷の天使】って書かれてた。ハダカカメガイともいって貝殻のない貝の仲間なんだって」
白石「じゃあナメクジの仲間じゃん」
クリオネを食べるかの話にまで発展するが・・・。
アイヌでの調理方法を聞くもアシﾘパとアンケシは首を横に振った。
アシﾘパ「ない！！私達はこの生き物を食べないから」
アンケシ「アイヌ語の名前もないんだ」
杉元「食べない生き物は名前もつけてもらえないのね」
白石「可愛いんだからつけてあげて〜？」
A『こういう奴に限って怖い一面があったりしてな・・・』
杉元「Aみたいな？」
白石「松ちゃんはクリオネさんかぁ」
アハハウフフと六人は流氷の上を楽しく渡る。
白石がクリオネを食してみるも臭かったそうだ。
杉元「鶴見中尉たちは船で稚内まで先回りしてるはずだから出来るだけ遠回りして裏をかかないと」
杉元の呟きにAは大きく頷いた。
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
