223話 怒り（3） ページ39
白石はゲボを地面にぶちまけると、こちらを睨めつけながら小言を吐いた。
白石「へんッ おめえたちがアシﾘパちゃんとアンケシちゃんを正しい道に導くってか？」
「恋人でも 嫁でも 娘でもねえのに・・・」
女「アタイも束縛するひと嫌いだね」
A『・・・うるせえ。帰れよ』
白石が俺の足を掴むと、叫んだ。
白石「いまのお前らはなぁ。
【人生に守るものが出来た】と勝手に思い込んで」
「冒険が出来なくなったショボショボくたびれ男だ」
「杉元と松崎は樺太の旅でのアシﾘパちゃんとアンケシちゃんを見てねえ！」
「彼女たちはいろんなものをこの島で学んで成長したんだ」
「もうお前たちが出会った頃のアシﾘパちゃんとアンケシちゃんじゃねえんだよ！！」
杉元は白石の気迫に怖じ気づく。
白石「お前らは樺太でやっと再会できたのに離れたままだ！！」
確かに、ここ数日のアンケシさんと、北海道にいた頃のアンケシさんとじゃ全然違う。
距離が出来たことだって感じていた。
白石「キロランケが彼女たちに伝えたことは嘘じゃねえだろ！？」
「わざわざクソ真面目に樺太まで連れて来て自分たちの現状を本人達の目で直に見てもらおうとしたんだからな」
白石が立ち上がり、俺と杉元の胸倉を掴んだ。
その手には力が込められていた。
白石「全部覚悟の上でアシﾘパちゃんとアンケシちゃんが【アイヌを背負いたい】というなら」
「背負わせりゃいいだろッ！！」
「彼女たちを自立した相棒として信じればなぁ。お前たちはギラギラした元の男に戻れるのに・・・」
自立した相棒として？
俺は・・・そう見ていなかったのか？
白石「それにお前ら・・・鶴見中尉たちがアイヌのことまで考えてくれると本気で思ってんのかよ」
杉元「どういう意味だ？」
A『・・・・白石』
白石が突如、崩れ落ち倒れ込むとまた、嘔吐した。
杉元は白石の話を聞いて、表情を固くした。
A『・・・・・なんだよ』
俺も杉元も、分からないんだ。
なにが正しくて、間違ってんのか。
もう・・・分からない。
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
