218話 融雪（2） ページ24
アンケシSide
・・・豊原。
アチャが、ハポと出会った街。
アチャのことが、何か分かるかもしれない。
それ以前に・・・。
A『自由に過ごしていいってさ。
どうする？杉元。アシﾘパ』
Aが私に声をかけ、佐一とアシﾘパにも問いかける。
杉元「う〜ん。俺は――・・・アシﾘパさんとアンケシさんに任せるよ」
アシﾘパ「じゃあ私は―」
アンケシ「私、行きたいところがある」
みんなが私を見つめる。
A『うん？どこに行きたい？』
アンケシ「私のコタンがあった場所」
杉元「・・・！」
アシﾘパ「アンケシの・・・」
アンケシ「みたい。私は・・・ちゃんと目にしておきたい」
「いいだろうか？」
Aと佐一が顔を見合わせ、アシﾘパは私を見つめた。
アンケシ「私のコタンに・・・行こう・・・」
アシﾘパ「・・・・うん。そうするか」
杉元「よしっ！じゃあ案内してくれ。アンケシさん」
A『・・・・・・・・・』
ーー
月島ニｼパたちの許可を得て、私達は森の中を進む。
杉元「どんな感じかなぁ？エノノカちゃんのとこと似てるかな？」
アシﾘパ「案外、北海道と似てたりしてなあ」
A『・・・・さあ。でも樺太アイヌだし北海道に似てるってことは無いと思う』
アシﾘパ「いやいや、裏をついて・・・」
緊張してきた。
心臓の音がうるさい。
・・・北海道にいる頃なら、もう一度いこうとは思わなかった。
アンケシ「ついた」
私が声を上げると、皆が驚き目を丸めた。
アンケシ「・・・・・・ここだ」
佐一があたりを見回し、「ここが？」と聞き返す。
アシﾘパ「だって、いや。何かの間違いじゃないのか？」
私は首を横に振った。
アンケシ「いいや・・・ここだよ。・・・・そっか」
A『アンケシさん』
アンケシ「やっぱり・・・・なくなってたか・・・・」
私が、アチャと北海道でのんびり暮らしている間。
コタンは・・・みんなは・・・。
A『杉元。アシﾘパ』
『・・・・・ごめん。二人にしてくれ』
ーー
佐一とアシﾘパは先にここを離れていった。
何もない更地。
真っ白な雪景色のなか、私とAは何もない景色を並んでみていた。
アンケシ「・・・なにも、残ってない」
「私は・・・分かってはいたんだ。
ここに来ても、なにもない」
「私がこれを見て出来ることは、何一つないって」
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
