214話 危篤（2） ページ14
翌日。
俺達はニヴフ民族の生活を見学していた。
アンケシさんは俺たちに細かく教えてくれた。
さすが、樺太のことは誰よりも詳しい。
アシﾘパは杉元に魚の皮の帽子を被せている。
アンケシ「う〜ん」
アンケシさんが首を傾げ、ゲラゲラと笑う。
アンケシ「Aは軍帽以外なにも似合わないな！」
A『着慣れしてんの。似合わない訳じゃないよ』
アンケシ「ふふふ・・・クスクス」
あまりにも似合わないみたいなので俺はいつも通りの格好をする。
それから、ニヴフの伝統料理である【モス】を食べる。
鯉登少尉は嬉しそうだ。
モスという単語だけで親父さんを思い出すらしい。
鯉登「アシﾘパとアンケシを奪還して先遣隊として良い結果を出せた」
「それを父上に報告できるのがうれしい・・・」
月島「・・・・・誇らしく思ってくださるはずですよ」
月島軍曹は続いて鶴見中尉も喜ぶと言った。
鯉登少尉はさらに上機嫌だ。
「【フン。まあまあのデキじゃないか。
お疲れさんA】」
・・・スパイの報告をした時。
親父は素直に褒めることはしなかった。
でも、今思えば笑ってはいたんだよな。
俺は親父の顔を見たくなくて俯いていたけど。
A『・・・・・・・・』
アンケシ「百は草だけじゃ治せないそうだ」
杉元「医者をここに連れて来なくては」
いつの間にか百の話をしている。
アンケシさんが百を心配そうに見ている。
鯉登「亜港の医者を？我々は密入国で日本兵だぞ。通報されたらどうするんだ」
「危険を冒してまで尾形を助ける必要なんか無いはずだ」
アシﾘパ「・・・・・」
アシﾘパが俯いた。
A『月島軍曹はちゃんとした医者に一度診てもらったほうが良いと思う』
『百――・・・尾形はそのついでだ』
杉元が頷いた。
杉元「みんなでニヴフの格好をすりゃバレねえって。ロシア人に俺たちの見分けなんかつかねえよ」
ーー
俺達は医者がいる病院に着く。
アンケシさんが医者に話しかける。
アンケシ「Я хочу, чтобы ты помог ему, который был тяжело ранен」
――重傷を負った彼を助けてほしい。
医者は「【患者が一杯なので無理です】」と答える。
杉元「ほっとけば死ぬから来てくれ。
カネなら(鯉登が)たくさん出す」
「そう伝えてくれ」
アンケシさんが頷き医者に訴えかけたその時。
医者「А, японский...」
――日本語か？
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
