130話 正直でいこうぜ(1) ページ28
クンネ・エチンケのオハウができた。
谷垣「なかなか変わったニオイだな。汁はトロトロだ」
杉元「このプリプリしてるのは手足の皮の部分かな?肉の方は鶏肉みたいであっさりして美味いよ」
アシリパ「フレ・エチンケは肉食だから臭いけどクンネ・エチンケは海藻しか食べないから臭みがない」
アンケシ「ヒンナヒンナ」
白色「クンネ・エチンケで良かったね」
ーー
食後・・・。
「【そののっぺら坊と金塊を奪い取ったのは私のアチャかもしれない・・・そもそも金塊なんぞに手を付けなければこんなことには・・・】」
責任を感じていると頷いたあの子の表情。
とてもじゃないが・・・言えない。
【イソンノアシ】と呼ばれる男が、のっぺら坊と金塊を奪ったと確定したなんて。
網走に行けば・・・いずれバレること。
早いほうが良いだろうが・・・。
杉元「よォA。どした?そんな怖い顔して」
杉元が俺の隣に座った。
A『・・・いや。ちょっと考え事してた』
杉元「考え事?」
杉元には話してもいいだろうか?
いや、コイツは熱い男だから・・・変に騒ぐかもしれない。
杉元「・・・・・黙るなよ。隠しことでもしてんのか?んん?」
A『・・・・・・』
杉元が俺の背中をバンッと叩いた。
あまりにも痛くて俺は杉元を睨む。
杉元「ごめんつい力が・・・」
A『・・・』
杉元が真面目な顔をして呟いた。
杉元「A。正直でいこうぜ」
A『・・・・・・え?』
杉元が微笑んだ。
杉元「ま!言いたくないなら良いけどねぇ」
A『・・・』
杉元がゴロリと寝転がった。
杉元「アシリパさんとアンケシさんとチカパシ。
仲が良いんだな」
俺は奥の方で掛け合い歌で遊ぶ三人に目をやる。
杉元「チカパシもコタンに家族がいなくてフチがよく面倒を見てやっていたそうだ」
A『へぇ・・・』
アハハと笑いアンケシさんの膝に顔を埋めるチカパシ。
それを優しい眼差しで迎え入れるアンケシさん。
杉元「なんだかホントの姉弟みたいだねぇ。
アンケシさんとチカパシは」
A『・・・幸せそうで何よりだ』
杉元が呟く。
杉元「アシリパとアンケシさんの間には硬い絆があって・・・どちらかを恨んだり、憎んだりすることは無いんだろうな」
A『・・・俺と百だって負けねぇよ』
杉元「お前はともかく尾形はなぁ〜」
杉元がポツリと言った。
杉元「網走で何があってもあの子達は互いの手を放さないんだろうな」
25人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月13日 20時