真綿を包む 04 ページ43
｢…ん｣
『まんちゃん…？』
｢来る｣
つい先程までニコニコと笑いながらお茶会を楽しんでいたオスマンが、突然廊下を見遣り動きを止めた。睫毛を揺らしながらその細目を見開き、余り見ることの無いオリーブの瞳が姿を現す。
来る、とは。Aはこてんと首を傾げたが、直後聞こえてきた微かな足音に目を見開いた。
『きた。しょぴくん』
｢この足音は確かにショッピくんやな。A、俺がどうにかするから後ろのダクトから逃げ｣
『だくと』
｢うん。緊急用やからちょっと汚れてるけど、Aのサイズなら楽に通れるはずや｣
そう言ってはよ行き、と目線を送ったオスマンに、Aは小さく『おかし、ありがとう』と礼をしてからダクトの中へ姿を消した。
そのほんの数秒後、ショッピがノックもそこそこにオスマンの部屋へと押し入る。危なかった、もう少しで見つかるところだ。
｢失礼します。A先輩来てませんか｣
｢んー？来てへんよ？｣
｢……嘘ですね｣
ショッピは鼻をスン、と鳴らしてオスマンを睨む。何故ばれたのだろう。出来うる限り証拠は消したはずなのだが。
｢A先輩の匂いがします｣
｢へえ、匂いでわかるん？｣
｢俺、鼻は良いんです。コネシマさん程じゃないですけどね｣
早くAの行き先を教えろ、とでも言いたげにショッピはオスマンと視線を合わせる。
中々に良い目をしている。外交相手に殺気の込められた目で見られることは少なくないが、これまでのどの相手よりも今のショッピは威圧的だった。
しかし、まだ駄目だ。その程度で怯むほど、オスマンは甘い男ではなかった。
｢分かった、教えたる。Aなら窓から逃がしたで。今ならまだ遠くまでは行けないと思う｣
｢…窓からですね。分かりました｣
まだ疑っているのか訝しげな表情を浮かべているが、オスマンの目を見て嘘ではないと思ったのだろう。ショッピはお辞儀をしてから部屋を出て行った。
｢ふふ、ショッピくんもまだまだやな｣
この程度の嘘なら見抜けなきゃ駄目めう〜
オスマンは一つ溜息を吐いてから、再び仕事に取り掛かるべく机に向かった。
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重(プロフ) - 緋彩さん» 緋彩様、コメントありがとうございます。小さい女の子とお兄さんがほのぼのしてるのが好きなんです…可愛いと思ってくださり嬉しいですー！ (2019年1月18日 21時) (
レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - 主人公も可愛いんですが､個人的にショッピ君がにゃーって言ったの可愛い！ (2019年1月18日 20時) (レス) id: 5f8954327f (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 結衣さん» 結衣様、コメントありがとうございます。ふえぇ…嬉しいです…読んでくださりありがとうございました……！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - はえぇ...すごいですぅ...完結お疲れ様です (2018年12月30日 19時) (レス) id: 462408b9f9 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 杉山さん» 杉山様、コメントありがとうございます。早速見て頂けたようで嬉しいです！大変お待たせしてしまいもしかしたら忘れてしまっていないかと心配しておりましたが、覚えていてくださったようで良かったです…！素敵なリクエストありがとうございましたー！ (2018年12月23日 8時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：重 | 作成日時：2018年7月15日 18時
