真綿を包む 02 ページ41
｢どこやあいつら…ロボロはどうせまたこっすい隠れ方してんのやろ。姑息やわ〜｣
いやそれはお前やろ、と突っ込みそうになったトントンは慌てて口を噤んだ。折角気付かれていないのにここで声なんか出せば流石にバレてしまう。腕の中でにまにまと楽しそうな笑みを浮かべるAを抱き締めながら、トントンはコネシマがこの場を去るのを待った。
今回トントンが隠れ場所に選んだのはクローゼットの中だ。隠れ場所としては定番すぎると思われがちだが、これがひねくれた考え方のメンバーの裏をかくにはよく効くのである。
｢(A、苦しいかもやけど我慢してな)｣
外に聞こえない程度の小声でそうAに告げると、Aはこくこくと数度頷いた。
｢んー…天井裏行くかあ｣
どうやらこの場所を探すのは諦めたらしい。頭を掻きながら踵を返すコネシマに、トントンが安堵の息を吐いたその時だった。
『へくしゅっ』
｢えっ｣
それまで大人しくしていたAが、何とも可愛らしいくしゃみをした。普段ならばかわええなぁと頭を撫でていたところだが、今はそれどころではない。案の定コネシマは目を光らせてこちらを向いた。
ああ、埃っぽいクローゼットを選んだのは不味かったか。
もう逃げられないと悟ったトントンは、自分のした過ちに震えるAを抱えてクローゼットの扉を蹴破った。
｢はっはっは！Aやらかしたなあ！！｣
『と、とんとん、ごめんなさい……』
｢いや、あん中埃っぽかったからしゃーない｣
じりじりと確実に距離を詰めるコネシマにトントンは必死に思考を回す。しかしどんなに考えても、軍でもトップクラスのスピードを持つコネシマから二人揃って逃げ出すのは不可能であった。
そう、それはあくまで二人揃って、の話だ。A一人だけなら何とか逃がせるかもしれない。
｢A、俺がこいつを相手してる間に逃げろ｣
｢あ？成程、そう来たか｣
｢タッチさえされなきゃこっちのもんや。走れA！！｣
トントンが叫んだと同時に、Aは全速力で走り出す。後ろを見ている余裕など無い。頼もしい父親を信じて、Aはただ前だけを見て走った。
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重(プロフ) - 緋彩さん» 緋彩様、コメントありがとうございます。小さい女の子とお兄さんがほのぼのしてるのが好きなんです…可愛いと思ってくださり嬉しいですー！ (2019年1月18日 21時) (
レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - 主人公も可愛いんですが､個人的にショッピ君がにゃーって言ったの可愛い！ (2019年1月18日 20時) (レス) id: 5f8954327f (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 結衣さん» 結衣様、コメントありがとうございます。ふえぇ…嬉しいです…読んでくださりありがとうございました……！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - はえぇ...すごいですぅ...完結お疲れ様です (2018年12月30日 19時) (レス) id: 462408b9f9 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 杉山さん» 杉山様、コメントありがとうございます。早速見て頂けたようで嬉しいです！大変お待たせしてしまいもしかしたら忘れてしまっていないかと心配しておりましたが、覚えていてくださったようで良かったです…！素敵なリクエストありがとうございましたー！ (2018年12月23日 8時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：重 | 作成日時：2018年7月15日 18時
