逆鱗に触れた 03 ページ34
｢なあA。あの時、何で大声出さなかったん｣
城に帰りAを風呂に入れ終えると、トントンはAにそう問いかけた。
確かにあの時公園内には誰も居なかったが、大声を出せばトントンがもう少し早く戻ってこられていたかもしれない。にも拘らず、Aは泣きもせずに黙って不快感に耐えていた。何か理由があるのでは、とトントンは思ったのだ。
『……る』
｢え？｣
『なれてる』
目を伏せながらそう答えたAに、トントンはドクンと心臓が跳ねるのを感じた。
そうだ。自分が拾うまで、この子は従僕同然の扱いを受けていた。ならば訓練や苦しい生活でストレスの溜まった男たちの欲の矛先は、立場の弱い女子供に向くはずだ。
つまり、Aは今まで____
｢……ごめん、A。辛いことを思い出させたな…｣
ああ、最低だ。トントンを己の言動を悔いた。
この子には癒えない傷がある。それを抉り返すようなことを、ましてや親のトントンがしていいはずがないのだ。
｢A、嫌だと思ったら拒んで良いんや。助けを求めて良い。な、そしたら俺が真っ先に駆け付けるから｣
自分のするべきことは、この子供に幸せを教えること。仲間がいると、分かってもらうこと。
救うんだ。俺が絶対にAを救う。
トントンはそう再び決意をすると、Aの目を力強く見つめた。Aはぱちくりと瞬きを1つすると、ふにゃりと笑みを浮かべ、トントンに抱きついた。
｢！A、今、笑って｣
『んふ、とんとん、すき』
｢……！｣
『いちばんにきて』
｢…ああ、勿論や！一番に俺が助けに行く！｣
2人は顔を合わせて笑い合うと、どちらからともなく小指を出し、お互いの小指に絡めた。
-------------
八様より、｢主人公がピンチになったら怖いトントン｣でした。
もしかしたら本来リクエストではなかったのかもしれないですが、素敵なコメントでしたのでここで使わせて頂きました……！メンバーの皆様ももっと登場させたかったのですが駄目でした……。私の力不足でございます。申し訳ございません。
八様、コメントありがとうございました！
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重(プロフ) - 緋彩さん» 緋彩様、コメントありがとうございます。小さい女の子とお兄さんがほのぼのしてるのが好きなんです…可愛いと思ってくださり嬉しいですー！ (2019年1月18日 21時) (
レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - 主人公も可愛いんですが､個人的にショッピ君がにゃーって言ったの可愛い！ (2019年1月18日 20時) (レス) id: 5f8954327f (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 結衣さん» 結衣様、コメントありがとうございます。ふえぇ…嬉しいです…読んでくださりありがとうございました……！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - はえぇ...すごいですぅ...完結お疲れ様です (2018年12月30日 19時) (レス) id: 462408b9f9 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 杉山さん» 杉山様、コメントありがとうございます。早速見て頂けたようで嬉しいです！大変お待たせしてしまいもしかしたら忘れてしまっていないかと心配しておりましたが、覚えていてくださったようで良かったです…！素敵なリクエストありがとうございましたー！ (2018年12月23日 8時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：重 | 作成日時：2018年7月15日 18時
