其ノ弍 ページ2
─ 拝啓 国木田さん 。僕はまたとんでもない光景を見ています。
街中にあるビルの一角,そこにある武装探偵社に中島敦は勤めている。舞い込む依頼は簡単なものだと脱走猫の調査から難しいものでは爆弾魔の捕縛まで,本当に様々なことを生業としていた。
「 おはようございま… 」
朝出勤するためにドアを開けると同時に挨拶をしようと開いた彼の口は言葉を最後まで紡ぎ終らずに止まる。
何故ならそこに人が吊り下がっていたからである。
「だ,太宰さん!また首吊りですか!?やめましょうよ!吃驚しますし…」
そんなことを言いながら吊り下がる人物の下へ椅子を置いて首に掛かる縄をぶつりと切る。全体重を支えていた縄が切れれば首吊りをしていたその人間の体は重力に従って床に落ちる。普通であれば死んでいるはずのその人物は起き上がり中島へ声をかける。
貴「君,酷いでは無いか 。もう少しでタヒねるところだったというのに。」
ここで中島はそれに違和感を感じる。自身が先程口にした名前の人間より幾分か高く女性らしい声,腰まで長く伸びた蓬髪,自身より少しだけ低い背。其のどれを取ってもその人物は彼の呼んだ“太宰さん”ではなかった。
中「だ,誰ですか!?なんでここで首吊りを…!?ってか国木田さんは!?」
大きな声で取り乱しながら問いかける中島に対してその人物は
貴「あぁ,依頼しに来たのだけれどねぇ,随分と良い梁があったものだからつい。その国木田さんとやらはいないよ。」
なんてのらりくらりと悠長な返事を返す。
中「だとしても…って,依頼?」
貴「あぁ。そうさ。人探しを頼みたい。」
そこへ眼鏡をかけた長身の人物が事務所のドアを開けて入ってくる
国「おはようございま…」
中「国木田さぁん…!」
国「どうした敦」
中「あの方朝僕がここに来たら首を吊っていて,話を聞くと依頼人なんだって言うんです。どうしましょう…」
国「まぁ,話だけでも聞いてみればいい。あの,失礼ですが,どのようなご要件でいらっしゃったんですか?」
貴「ん?あぁ,探し人をしているのだよ。私は。」
国「その探し人とやらの特徴をお聞きしても?」
貴「そうだねぇ,何年か前の姿しか知らないからとりあえずわかりやすい特徴だけ言うよ。私と同じ茶色の蓬髪,私と同じ色の目,身体中に巻かれた包帯,背丈は大体5尺9寸4分,180cmだね。口を開けば心中がどうのこうの,女性に目がない。これくらいかな…?」
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は る 。(プロフ) - 設定も関係性もめちゃ好きです!!更新心待ちにしております(T_T) (2022年9月20日 4時) (レス) @page4 id: 991565de73 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル(プロフ) - 七巳流さん» 教えて頂き誠にありがとうございます! (2022年9月15日 18時) (レス) id: 8a29f06bea (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - オリフラたってます。設定だけでも面白いですね!! (2022年9月15日 18時) (レス) @page1 id: 3df5dd07dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジゼル | 作成日時:2022年9月15日 18時