( 続 )「 惚 れ さ せ 屋 」佐野玲於

stage 56 ページ6

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玲於さんにまたキスされた時
私は自分の気持ちに気付いてしまった


やっと分かった、この胸のモヤモヤの正体
自分の想いに気付けたって思ったのに



そしたら「 もう最後にするから 」なんて言われて



私としては意味が分からなくて

最後ってなに？もうしないってなんで？
私の事落とすんじゃなかったの？

もう逢えないって事なの？



最後なんて嫌

もう、してくれないとかやだ

散々私の心奪っといて終わりだなんて、玲於さんは本当に罪深い人だ






玲於「 ねぇ、勝負ってあのこと？」


「 そうだよ … 私まだ、玲於さんを惚れさせてないもん 」


玲於「 ふっ、ホント … 馬鹿じゃねーの(笑)」





これじゃあもう、私の負けだね

彼はただ、遊びの延長線上でやってただけなのに
私ばっかりが本気になって。



惚れたら負けだなんて、初めから分かってたのに

こうなると分かってたら

初めから玲於さんなんて ターゲットにしなかったのに …






「 もう、やめにしちゃう？この勝負 」




だって、私の負けなんてもう分かってるから

これ以上続けたって意味ない





玲於「 いいよ。じゃあその代わりイイコト教えてやろっか 」

「 イイコト？」


玲於「 この勝負、俺の負けってこと 」

「 え？」




玲於さんの負け？なんで？

だってこの勝負は、玲於さんざ私を落として
私が彼を惚れさせるって勝負でしょ？

私はもう落ちちゃったんだから、私の負け …



だよね？







玲於「 あー… ホント、悔しいけどやる事いちいちツボ過ぎて参ったわ。Aちゃん 」


「 へ？わたし？」



玲於「 俺、Aちゃんの事好きになっちゃった。

だからこれはAちゃんの勝ちね 」





フニャフニャの笑顔でにこぉ、って笑って
“ 参りました ” なんて頭を下げる彼

私の事、好きになっちゃった？

だから負け？





「 … 嘘だ 」

玲於「 ホントだよ 」


「 だって私、社員だよ … ？しかも、新人だし 玲於さんみたいな人と恋とか、無理じゃん 」


玲於「 まぁ、でも好きになっちゃったんだから仕方ないでしょ？」





… 信じられない

今度こそ本気で熱出しそうだ


それとも私はまだ夢を見てるのかな？



確かめようと頬をつねったら、玲於さんはその頬を両手で包んだ。

今度はちゃんと、私の目を見て




玲於「 冗談でこんな事出来ないから 」



なんて言って

もう何度目だか分からないキスを落とした





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