「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ49)

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Reo side

花火大会とか、人混みなんて苦手なはずなのに

どうしてか俺は家に居る気にもなれなくて
Tシャツに短パン、サンダルに帽子でこんな所まで来てしまった。

玲於「 … ったく、何やってんの俺」

1人で寂しく見るのも気が引けて、映画で仲良くなった友人を誘えば今から来るって言うから

俺は1人で近くのコンビニに入って、祭りに行く人々を見ながら待った。

“ 花火大会、行くな ”

どうしてか俺は、涼太くんがAちゃんの事を狙ってるってきいてから落ち着かなくて

ただ一緒に花火見るだけかもしんないのに

俺は俺の居ないところで2人きりになるのが気に入らなかった。

だからあんなガキみたいな事言ってしまった

積極的に言えない俺がモタモタしてるうちに他の奴に取られちゃうんだ

…

友人と合流して、花火の見える橋の上で買って来てくれた焼きそばを食う俺たち

2人とも芸能人のくせに、オーラ消し過ぎて誰にも気付かれない。

というかみんな花火に夢中で気付かない。

「わぁ、綺麗 … 」

なんかこの声、Aちゃんに似てるな

って思って振り返れば、そこに居たのは浴衣姿のAちゃんと涼太くんが居て

俺は思わず焼きそばを吹き出しそうになった

玲於「 …… あ、」

友人「ん？どうしたの？」

玲於「ごめん、ちょっと知り合い見つけた。」

俺は何を思ったか、咄嗟に2人の方に歩いて行った

何でよりによってAちゃんもそんな可愛い格好してるわけ？
涼太くんも浴衣着ちゃってるしさ

ムカつく。ホントむかつく。

背後から近づいて、脅かしてやろ。

なんて悪戯心に火が付いた俺は気付かれないように2人に近付いた

涼太「 …… 好き？」

「うん …… 好き。」

2人まで、あと数メートルの所でそんな会話が聞こえてくる

花火の音のせいでよく聞こえなかったけど
聞かない方が良かったのかも

涼太「 … ずっと前から、気になってたんだよね」

「嘘 … 全然気付かなかった」

涼太くんが笑って、Aちゃんも照れたように笑ってる

あぁ、俺の入る隙ねぇじゃんって

2人とも楽しそうに笑ってて、あぁ … もう俺終わったなって

友人「 … あれ、どしたの？」

玲於「なんか、人違いだった … っ」

友人「玲於くん … ？」

だせぇ、俺

何でこんなに苦しいんだろう

泣きたくなるくらいAちゃんの事こんなに好きだったなんて

今、初めて気付いた。

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