「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ48)

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花火大会当日

涼太「じゃあ、後でまた連絡するね？」

「うん、分かった」

仕事終わりに涼太くんはそう言うと、マネージャーさんの車に乗り込んで行ってしまった

今日の花火大会、結局2人きりで行くんだなぁ …

玲於さんは「行くな」って言ったけど、あれはどう言う意味だったんだろう

杏「 A～！ささっ、早く来て来て♡」

「え、何ですか？」

瑠衣「花火大会行くんでしょ？折角なんだから可愛くしてもらいなよ～」

杏さん達に呼ばれてメイク室に行けば、E-girlsのヘアメイクさんがニコニコと迎えてくれる

そして事務所の衣装部屋から引っ張り出して来たのか、紺色の浴衣がラックに掛かってる

「これって … 」

杏「王子との花火大会だもん！これくらい着なきゃダメでしょ～」

瑠衣「涼太くんも浴衣、着てくるんじゃない？」

私たちが花火大会に行くことは、何故かグループ内にも広まっていて

当たり前だけど噂好きの杏さんたちも知っていた。

きっと涼太くんが喋ったんだと思うけど

何でこんなに応援されてるのか … 謎は深まるばかり。

…

涼太今どこにいる?迎えに行くよ

用事を済ませた涼太くんと合流して、そのまま私も車に乗った。

勿論、あんな人混みの中歩く訳には行かないから

一通りの少ない道で一旦停車。

涼太「今日のAちゃん、凄く可愛い」

「涼太くんも、浴衣 … 似合ってる」

涼太「実はさ、雑誌の撮影なんだよね。衣装借りてそのまま来ちゃった」

男の人の浴衣姿って、めちゃくちゃカッコいい。

そう言うの元々好きだったから
今日の涼太くんはいつもより倍魅力的に見えてしまう

涼太「もう暗くなって来たし、そろそろ行こうか
」

「うんっ」

もし、玲於さんだったら
こんな風に浴衣とか着たりするのかな

似合いそうだな、きっと

でも疲れてすぐ「帰る」って言いそうかも

なんて、涼太くんと居るのに玲於さんの事ばかり考えてしまうなんて

私は相当彼に惚れてしまっているらしい

涼太「玲於たち居るかな～？今日友達と行くって言ってたけど」

「え？」

玲於さんも、この花火大会来てるんだ。
人混み苦手って言ってたのにな …

やっぱり彼女と復縁したとか？

涼太「どうしたの？」

「ううん、何でもない」

いつもいつも、私ばっかり気にしてる。

はじめから “ 惚れさせ屋 ” なんて無理だったんだよ

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