「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ43)

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stage 43 ページ43

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惚れさせてやる、なんて言ってみたものの

もう私は玲於さんにグサグサと射抜かれてる訳で
半分負けてるっていうね

まぁ、参りましたって言ってないから良いけど

玲於「あ、先風呂入っていいよ。タオル置いとく」

「うん、ありがとう」

しかも何故か、また佐野宅に泊まる事になってしまったし。

当たり前に終電逃してるから、仕方ないんだけど
何もないって保証も … なくはない。

私、玲於さんとキスしちゃったんだよね … ？

したくなったからした、って言ってたけど
本当にそれだけが理由なの？

玲於さんだって、あの後真っ赤になってたくせに
意味わかんないよ、もう。

私を落としてみせるって何なの？

もうとっくだって、そんなの。

玲於「あのさ、着替え。俺のでいいよね？」

「あ、うん … ありがとう。」

玲於「ん。置いとくね」

すりガラス越しに見える玲於さんを見て、一気に実感が湧いて来た

この前はいつのまにか寝ちゃったから分からなかったけど。

よく考えたら私、男の人の一人暮らしの家に泊まるの初めてかも

…

「 … 玲於さん、この服ありがとう。」

玲於「あー… うん、うん。ちょっとデカイかも」

シャンプーも服も、部屋中も
全部からお洒落な玲於さんのいい匂いに包まれてる

なんか、ちょっとだけ

玲於さんの彼女になった気分かも

「これ、玲於さんの普段着？」

玲於「うん、そーだよ」

「やっぱり。だって玲於さんの匂いするもん」

なんて、服の匂いを嗅いで見せたら

玲於さんてば照れたのか「うわ、変態」なんて言って軽く頭を叩いてくる

私たちってこんなに仲良しだったっけ

なんだろう、こんな距離感が妙に心地いい

「私、玲於さんの匂い好きだよ」

玲於「匂いだけ？」

「ううん、声も。あとホクロも」

like と love の境界線ってどこなんだろう

友情と愛情の違いってなんなんだろう

私は、玲於さんのことが好き。
でもそれはどういう好きなのかはっきりしない

玲於「 … 風呂入ってくるから絶対先寝んなよ？」

「分かってますって。いってらっしゃい」

もう、どっちでもいいや

一番大切なのは、玲於さんに惚れてもらうこと
女として好きになってもらうこと。

今までで一番最大の標的(ターゲット)

私と同じくらい好きで居てくれたら

それだけでいいのに

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