「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ27)

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stage 27 ページ27

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うーん、なんか変。

やっぱり前髪あると幼く見えちゃうな

鏡の前に立って数分
昨日の夜、風呂上がりに思い切って前髪を切った。

「 … 違和感。」

学生の時はずっとこんな感じだったのに

大人っぽくなりたくて、伸ばし始めて。
今の職場ではずっと前のスタイルだったからな

変って言われたらどうしよ

そもそも私の変化なんてそんなに気付く人いないか

「 … おはようございます」

“ おはよー ” と返事は返ってくるも、皆さん手元の本や漫画、スマホに夢中で振り向かない

エレベーターで一緒になった先輩さえも気づいてくれなかった

まぁ、こんなもんか

瑠衣「 A、会議室Bだからよろしくね！」

「あ、はいっ」

杏「私メンバー呼んでくる！」

いつも彼らの周りはバタバタしている

杏さんたちも色々とやる事があって毎日忙しそう。

メンバーが集まり、いつものように話し合いが始まった。

会議なんて堅苦しいものじゃなくて案を出したりアイデアを出したりするの

玲於さんは相変わらず、何考えてるのか分からない

隼「 …… なんか。ねぇ？」

玲於「 … あ、分かった」

「？」

奥の方で最年少の2人が何やら私を見るなりコソコソと話してる。

何だろう、と思い彼らの方を見ると

玲於さんと遠巻きに目が合った

玲於「前髪が … ある」

隼「前髪かー！たしかに前なかったよね」

「 … え、気付いてくれたんですか」

開始数分、わたしの変化に気付いてくれた

小森さんは何かが変わった事は分かってたみたいだけど

まさか、玲於さんが一発で気付いてくれるなんて思わなかった

… どうしよ、嬉しい。

玲於「当たり前じゃん、分かるよ」

“ 当たり前 ” そう言って玲於さんは小さく微笑んだ

私の事を案外見てくれてるのかも知れない
気に掛けてくれるのかも … って思うと

胸が熱くなって、嬉しくなって。、

涼太「あ、本当だ前髪切ったんだね。可愛い」

龍友「一気に幼くなったな」

今はどんなに他の人に褒められても

玲於さんの “ 当たり前じゃん ” という言葉には勝てなかった。

…

会議終わりに、資料の片付けをしている私のところへ玲於さんがやってきた

そしてコソッと耳元で小さく

玲於「俺、そっちのが好き」

って言った。

その瞬間、胸をキュッと掴まれた気がした

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