「 惚 れ さ せ 屋 」佐野玲於

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最近の俺は 赤城さん … じゃなくて、

Aさんを観察する事にハマっている。


毎日見ててもホントに飽きないの。真剣な顔して悩んでるかと思ったら

眠そうにぼーっとしてたり。


動画サイトで可愛い動物の動画を見てウットリしてたり。超おもしろいの






裕太「 Aちゃん何見てるん？」

「 見てください、可愛くないですか？」


裕太「 ウサギやん。ほんまや、かわええ 」






仕事熱心で クールビューティなあのAさんが

ちょっとした合間に動物の動画を観てるってだけでもギャップなのに。

うさぎとかハムスターとか、小動物を見てんの

どうせならコブラとかワニとかみてて欲しかったわ



なんでそんな可愛いことすんの。計算？







裕太「 うちのハリネズミも可愛いから今度見したる。めっちゃ可愛いから絶対気にいると思う 」


「 え、良いんですか？見たい見たい！」





裕太くんのハリネズミは、基本的には裕太くんの家かペットホテルにしか居ないはず。

“ 今度見したる ” って、いったい彼はどこに彼女を連れて行くつもりか


ま、酔ったフリして家に連れ込んだ俺も人のこと言えないけど






「 みてみて、この猫ちゃんなんだか玲於さんに似てません？」


裕太「 あー… わかるわかる！」

玲於「 なに？」





急にそんなことを言って、俺に画面を見せてくる。

猫に似てるとかあんま言われたことないけど
彼女は「 気まぐれそうな所が似てます 」なんて言う

裕太くんまで、「 ツンデレな所も一緒やん 」って





「 ふふ、この子めっちゃ可愛い 」





俺に似てると言ったそいつを見て、彼女は可愛いと笑った。

あの日タクシーの中で、「 可愛いひと 」と呟いた意味と同じなんだろうか




玲於「 Aさんも可愛いよ 」




ちょっと抜けてる所とか。一生懸命すぎてドジっちゃうとことか

眠そうな顔とか、俺のわがままに振り回されてるとことか


それに、あの日見た寝顔も。




「 え、あ … あの 」





普段冷静そうに見えて、こういう時に照れちゃうとことかもね。

もう、はやく俺に惚れちゃえばいいのに

今付き合ってる男なんてやめて 俺にしたらいいのに






玲於「 照れてんの？… ったく、可愛いヤツ 」





俺は遊びじゃなくて本気で彼女を落としたくなった

こんなに1人の女に興味を持つなんて初めてだ。


その為には俺もちゃんとケジメつけないとね。

二兎追うものは一兎も得ずって言うじゃん？





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