「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ8)

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stage 8 ページ8

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その後も、赤城さんを観察すればするほど

見てて飽きないっつーか面白い
コロコロ表情変えたかと思えば時々ぼーっとしてる

何考えたらそんな顔すんだよ、笑

「痛っ」

玲於「ぶはっ、笑」

出た意見をメモ取ろうとペンを持った彼女

ボールペン、逆さに持ってノックしてるし。
俺思わず吹き出しちゃったよね

バカなのか天然なのか掴めないヤツだな

もっとしっかりしてる子なんだと思ってたから意外

龍友「自分、疲れてるんちゃう？」

裕太「うん、さっきからボーっとしてるしな」

隼「裕太くんに言われたら説得力ないけど、笑」

「 … すみません、笑」

赤城さん、恥ずかしそうにはにかんで笑った

冷静沈着なイメージだったけどこーゆーうっかりさんな面とかあんだな

チラッと見てみれば、俺に小さく笑い掛けてくる

一瞬だけ、心がザワッとした

赤城さん、俺に向かって笑った …

玲於「 … っぶね」

何俺がときめきかけてんの

俺があの人を落とす側なのに、不覚にもドキッとしてしまった。

これは相当な強敵だな、と思う

女子特有の、計算し尽くされた笑顔なんかじゃない

眉を下げて困ったような顔
恥じらいのある、男心がくすぐられるような

そんな笑顔を向けた

…

「ありがとうございました、お疲れ様です」

「「お疲れ様です」」

会議室を他のスタッフが出て行く中
一人で資料片付けて、ホワイトボードを消す彼女

新人なら、こういうのも当たり前なんだろうけど

そういう姿を見ると健気で真面目に仕事を頑張ってんだなとも思う

涼太「玲於、行くよ？」

玲於「ごめん、先戻ってて」

接触するなら、こういうチャンスは使った方がいい

今まで二人きりで話した事なんてなかったし
まぁ俺が話しかけないのが悪いんだけど

他のメンバーみたいに少しずつでもアクションを起こせば、距離だって縮まるでしょ

玲於「 … 手伝うよ」

「え、佐野さん？」

玲於「こんなに全部一人で持てんの？」

「いえ、ありがとうございます … 」

“ 貸してみ ” って赤城さんが持ってた資料の3分の2を持てば俺の顔を見るなりびっくりしてる

そりゃそうだ。俺が自ら手伝うなんて事普段しないからね

玲於「これ、どこ持ってきゃいーの」

「あ、えと。三階の倉庫です」

玲於「ん、じゃ行こ」

この一歩が、彼女との駆け引きの始まりだった

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