*Only winner* (ページ28)

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正式にゲスト出演が決定してから数日。

打ち合わせのためにE-girlsがリハーサルをしているスタジオに顔を出すと、乃々華がものすごい勢いで飛びついてきた。

「A～っ！」

『うわ、びっくりした』

「ゲストで出てくれるんだってね！柚那に聞いた時からめっちゃ楽しみにしてたんだよ～！」

『あは、ありがとう』

私の両肩に手を置いてピョンピョン跳ねる乃々華。
見るからに浮き足立っていて、大丈夫か…？と逆に心配になる。

「あ、Aだ」

『、怜菜さん。お疲れ様です』

「お疲れ様～」

「ののかー、ちょっといいー？」

「あっ、はーい」

妙にテンションの高い乃々華への反応に若干困っていたら、怜菜さんまでやってきた。

晴美さんに呼ばれた乃々華と入れ替わるように、怜菜さんが私の隣に立つ。

「A、引き受けてくれて本当にありがとう」

『いえ。私のほうこそ、こんな大切な日のゲストに私を選んでくれてありがとうございます』

「楽しみだなあ、Aと一緒に歌うの」

どこか遠くの方を見つめながら、しみじみとそう言う怜菜さん。

『……私も、楽しみです。
E-girlsは、私にとってずっと憧れなんで』

「……今も、憧れてくれてたんだね」

『当たり前ですよ。
これからもずっと、私の憧れはE-girls一択です』

1番近くで見ていたから、知っている。
彼女たちはいつだって、美しく、強く、輝いていた。

E-girlsは私にとって、原点であり一生の憧れだ。

「まさか、本当にAがE-girlsになる日が来るなんてねえ」

『まさかって感じですよね、本当に。一生叶わないと思ってたから、嬉しいです』

「ね。これが最初で最後になっちゃうのがもったいないくらい」

『……』

「でも、最後だから叶ったんだよね」

怜菜さんは頻りに最後、という言葉を繰り返す。
その表情は意外にも憑き物が落ちたみたいにスッキリしていて、それが逆に切なかった。

『……良いものに、しましょうね』

「もちろん。ただのコラボでは終わらせないからね。
幻のE-girls、実現させるよ」

『任せてください』

舞台は整った。
あとは、やるだけだ。

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