好っきゃ【芸人】【短編集】

深夜/ラフ次元 空 ページ29

貴女side




『このくそ下ネタ野郎』

｢別にええやん、お客さんウケとったし。しかも今日は深夜番組やで?｣


『そういう問題やないやろ』


私が今怒っているのは、同期であるラフ次元の空



『女の子のお客さん、引いとったで』


｢別にええって、Aはうるさいな｣


『うるさくないわ、世の女の子の気持ちを、代弁しとるだけや』


｢世の女の子て、お前女やないやろ｣



そう言ってゲラゲラ笑う空に、余計腹が立つ




｢それに彼氏いない歴＝年齢のお前が、そういう話に敏感すぎるだけや｣




『それは今関係ないやろ?』




あぁ、今すぐにでも目の前に居る男を殴りたい。



｢関係あるわ、てかその歳でまだ彼氏いた事ないて、お前ヤバない?｣




『うっさいわ、いい人がおらんねん』



私は男運が無い



｢ええ男なら、周りにいっぱいおるやん｣



『どこにおんねん』


｢川西さんとか、河井さんとか、｣


『あの2人なんてハードル高すぎるやろ』


そう言うと、目を瞑って唸り出す空




｢櫻井とかは?｣



『櫻井はギャル好きやん』




｢じゃあAには、一生無理やな｣




何でこいつは、こんなにも憎たらしいのだろうか




『じゃあもうおらん、あー梅ちゃんが結婚してなかったらな』




梅ちゃんは、芸人の中でも群を抜いて優良物件である。



｢あ、そういやAの事が、好きな人いるの知ってるか?｣



『え?!それほんまに?誰?誰?』




先程とは打って変わって、真剣な顔をする空。




｢じゃあヒントからな｣



『はよ言えや』



｢そんなん言うなら、教えないで?｣


『ごめんな』





すぐに謝って、空のヒントを待つ





｢そやな、まず背が高い｣


『おん』


｢でAと同期｣



結構なヒントくれたな今




｢髪の毛を染めている｣




木崎?あ、でも木崎はチビか





｢下ネタが好き、｣



『何やねんそのヒント、』





今までのヒントを整理すると、私と同期で背が高くて、髪染めてる下ネタ好き?





『…空??』



｢正解や｣





｢Aは鈍感やからな｣



困ったわ、そう言って両手を上げる空





｢じゃあ俺、先行くな。返事は今度でええから｣



『今じゃ駄目なん?』



そう言って、出て行こうとする空を止める



｢別にええけど｣




『私も空と同じや。だから空と付き合いたい』



｢ほんまに?ほんまやんな?｣




『ほんまや』



｢あー緊張した、良かった｣



彼は胸を撫で下ろしながら、そう言う。




｢これからよろしくな、A｣



『おう』







初めての恋人は、大好きな人で






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