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教室についた頃には、もうとっくに先生が来ていた。
私は「トイレに行ってて……」と嘘を言って席についた。星宮に何か言われたけど、もう忘れてしまった。
ユイのことで頭がいっぱいだった。

今もなお机の中に入っている白い紙。
ユイは、その紙に文字を書くときどんな気持ちでいたのだろう。
悲しかったのだろうか?
まだ私を信じていたのだろうか?
今のユイには何も答えてはくれないのだろう。だから、真相は分からない。
ユイが元に戻ってくれたら良いのだけれど……。

休み時間になっても、私は気になっていた。
ユイの様子をまた見に行こうか?
いや、止めておこう。泣いているユイを見捨ててきたのに、今さら……__。

花ちゃんたちは私のところに来なかった。
気を使ったのかな……それとも、一緒にいることで巻き込まれるのが嫌だったのかな……。

私は席をたって、トイレに向かった。

独りで考え事をしたいときには、トイレが一番だ。
私、変わってるかも。臭いところで考え事をするんだから。

「ねぇ、聞いた?ユイちゃん、早退だって」
「あぁ、そういえば保険委員の子がさっき……あれってユイちゃんのカバンだったんだ」
「そうそう。ちょうどAちゃんが遅れてきたときと入れ違いに」

わざとらしく、扉付近にいた女子二人が言った。
私は、ホッとした。
良かった良かった。今日はもうユイと会わなくていいんだ。
確か、ノアも早退したから……うん。
今日は大丈夫。ユイも明日学校に来てみれば、ケロッとして、いつもと同じように笑顔で話しかけて来るかもしれないし。

……うん。そうだ。きっとそう。

私は廊下の窓から空を見た。
どんよりとした曇り空だ。今の私にはぴったりなのかもしれない。

スタスタと、私はトイレに向かった。

今日のことを頭の中でちゃんと整理しておかないと、ね。

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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年8月29日 19時

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