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放課後だ。どれだけこの時を待ち望んで居たか…!
「Aー」
「ユイ?どうしたの?」
帰る用意をしていると、ユイがやって来た。
帰る用意は済んでるようだ。
「今日一緒に帰ろ〜」
「でも、部活あるんじゃ…」
「え?あ、部活?それならないよ?」
「休み?」
「うん。あ、部活が休みって訳じゃないけどね!」
ザボりか?
「今日歯医者でさ…」
サボりじゃないのか。良かった。
クラスでの唯一の友達が自分の嫌いな奴らと同じことをするかと思ったじゃないか。
「でも、大会近いんでしょ?大丈夫?」
「一日くらい平気だよ。それに、歯の方が大変だしねぇ」
「歯磨きしてる?」
「しても虫歯ってなるらしいよ?」
私は帰る用意を終わらせる。
そして、二人で教室から出ていく。
「ユイちゃんじゃあねー!」
「…あ、美香ちゃんもじゃあね〜!」
「バイバイ!ユイ!」
「うん。バイバイ、里子〜」
教室から出たとたん、色んな人がユイにさよならを言う。
隣にいる私はそれが差別のように思えて仕方がなかった。
こうやってこそこそと皆は私を軽く差別してるんじゃないのか。虐めてるんじゃないかと。
でも、ユイがいるから虐められるということはない。だってユイは支配する側だし。その隣にいる私が虐められるわけないし。
そう、これはただの私の被害妄想に過ぎないのだ。結局そんなもんでしょ。
「あー、明日も一緒に帰れる?」
「え?なんで?」
「明日は本当に部活ないんだー」
「うーん、ごめん。明日は私が部活ある」
一緒に帰りたかったよ。
でも、部活は学校で唯一楽しいし。
一年の時から居るから友達はいるし。皆違うクラスだけど。
「あ、そっか。まったく。Aは部活での態度とクラスでの態度、同じにすればいいのに」
下駄箱に到着し、靴を取る。
「そう言われても…」
「やっぱり難しい?」
「うん」
シューズを脱いで、代わりに靴をはいて校舎を出る。
照りつける太陽が妬ましい。
あんなに輝きやがって。私は輝けないのに。まぁ、当然だけど。
こんな根暗女が輝いてたら天変地異だよ。千年に一度の奇跡だよ。
「A、明日休んじゃダメだよ?」
ユイが突然言ってきた。
私は少し驚く。
「なんで?」
「なんかA、いつも嫌そうな顔してるもん。いつか不登校になりそう。受験に響くよ?孤立、本当にしちゃうよ?」
「だからって何で今言うのさ…」
ユイが目線を下げた。
これは話題を早く終わらせたいと思ったときのユイの癖だ。
「………なんとなく」
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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時