幸せ6個目 ページ6
*
｢A。｣
｢…おっとっと。｣
気づけば駅、通勤通学でホームはごった返している。
気を抜いていたせいで人の波に呑まれた私を心配してか、寧人が腕を引っ張った。
ありがとうありがとう。
｢あ、ねぇ寧人｣
｢なんだ、乗るぞこれ｣
到着した電車に半ば押し込まれる形で乗り込む。
腕を引っ張るな痛いから。
｢うぐ…降りたい……帰りたい…。｣
｢文句言うな、…と、奥行くぞ。｣
寧人が指すのは電車の車椅子スペースのことだ。
車椅子を使っている人は今居ないし、人混みが得意でない私をパーソナルスペースが確保しやすい場所へ連れていこうとしているのだろう。
｢ありがとー…。｣
｢いい。んで？話ってなんなんだよ｣
よく覚えてたな寧人。私正直今の一瞬で忘れそうになったぞ。
因みに今は乙女大歓喜の壁ドン状態。
と言うかもうほとんど体押し付けられてる。
痛い。でも私の後ろ壁だからまだ大丈夫。
あ、そうそう話ね。
｢えっと…んー、誤解しないで欲しいのだけど｣
｢言い淀むなんてらしくもないだろ。｣
言葉を選んでいる私を寧人は気味悪がる。
酷いなぁ全く。許さねぇからな。
｢……私に命令して欲しくて｣
｢……僕の幼馴染は
ちげーよ。
｢いや真面目な話個性無しじゃ体育祭キツいって。｣
だって無理だろ。
なんだっけヘドロ事件の被害者……名前忘れたけど
その子もいるんでしょうヒーロー科。
怖いじゃんも〜。寧人なんで生きてんの？
｢僕はどうすればいい。｣
｢ただ私に命令すればいいよ。得意だろマウントとるの。｣
でも今はやめて、無理。
今更だけどこれは絶対満員電車で話す内容ではないと思う。絶対違う。
｢っと、一旦話区切ろう。降りるぞ｣
｢う"ぇ……はいはい。｣
電車を降りて暫く歩く。
一旦 なんて言っていたけれど、このあと学校へ着けば寧人と話す時間なんて1秒もない。
とどのつまり今日はもうその話をしないということだ。
｢ずるっこだ。｣
幼稚園児のような悪口を吐き捨てる。
学校が近づくにつれ、自然と寧人との距離は離れていっているからもう奴には聞こえていない筈。
まぁ、別段寂しいとかはないけど。
これまでもよくある話だったのだし。問題ないし。
ちょっと久しぶりに遊んで楽しかっただけだし。全然。
多分。そういうことにしといてやる。
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ふわ(プロフ) - いゆ。さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！更新も話の進みもゆっくりにはなりますが、また見ていただけると幸いです……！ (2019年4月1日 14時) (
レス) id: fce397dad0 (このIDを非表示/違反報告)
いゆ。(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！物間くんも心躁くんも好きな私にとってはすごく好みな作品です…！更新頑張ってくださいね！ (2019年3月28日 18時) (レス) id: ee86b7a9ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわ | 作成日時：2019年2月9日 2時
