幸せ15個目 ページ15
*
｢頭イカれてんのか？｣
｢……弱いなぁ。｣
くっそ、と人使は頭を掻く。
あぁいやまったく本心じゃあない……と思う。
今は煽りの特訓中。
人使、善良すぎて煽りが下手くそ。中二レベル。
｢何でもかんでも個性のせいにして、結局人使は何が出来るの？｣
｢っ、お前｣
おぉ、やっぱり個性関連がウィークポイントか。
分かりやすいのも考えものだな。
｢はい、君の負け。人使は顔に出すぎだね。
眉間にシワ寄ってるぞ。｣
怖いから睨まないで欲しいね。
私は喧嘩をしたい訳では無いのだよ。
｢語彙力はテスト受かってんなら存分にあるだろう。｣
なんせ雄英は偏差値がおかしい。
足りないのは観察眼だね。
｢観察……？｣
｢相手の話し方、ワード選択、視線の動き、声の強弱。｣
そう言うのを視て、的確に相手の隠したいことを責める。
それが出来ないと、一発屋になるだけだろう。
犯行直後はテンションがハイにいなってるやつも少なくないから、身につければ確実に役に立つ。
｢諦めんなよ。情報は何も文字列だけから得られるもんの事じゃない。｣
寧ろ当人を見たほうが分かることも多いだろう。
初見だから、はプロの言い訳にはならない。
｢まあこれは慣れだね。｣
一朝一夕で出来るものじゃない。
かと言ってやらない理由にはならないのだけど。
｢最初のうちは当てずっぽうでいいさ。｣
ただし微量な表情の変化を逃さないこと。
｢…はぁ。｣
｢休憩するかい。｣
頷いて疲れたように人使はベンチに座り込む。
問題は山積みだからねぇ。ため息も出てくるさ。
｢…煽りはあんま現実的じゃないかもな。｣
｢うーんでも、君の戦闘能力考えると1番これが手っ取り早い。｣
喧嘩慣れしていないのだろう。
彼の戦闘能力は下の…よく言って中。
強くないことだけは確か。
｢ごめんね人使。私教えるの慣れてないのだよ。｣
ずっと1人だったし、私の口調は寧人から移っただけで、深く考えたことも無い。
誘っておいて、微塵も力になれないじゃないか。
｢ありがとな。｣
｢ん〜、なんもしてないけど。｣
暗い顔でもしてしまっていたかな、気を使わせたのならこれは失礼。
｢ずっとさ、
だから否定されなくて嬉しかったと、一番の笑みで言われてしまう。
｢やめてくれよぉ、そういうの…。｣
｢ははっ、こっちのが効くな。｣
くそう。
真っ直ぐな好意ってのは、慣れてなくて苦手なのだ。
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ふわ(プロフ) - いゆ。さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！更新も話の進みもゆっくりにはなりますが、また見ていただけると幸いです……！ (2019年4月1日 14時) (
レス) id: fce397dad0 (このIDを非表示/違反報告)
いゆ。(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！物間くんも心躁くんも好きな私にとってはすごく好みな作品です…！更新頑張ってくださいね！ (2019年3月28日 18時) (レス) id: ee86b7a9ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわ | 作成日時：2019年2月9日 2時
