幸せ2個目 ページ2
*
｢ほ〜らほら、可愛い幼馴染のお母さんがご飯用意してくれてるってよ。｣
会話にならないコイツは面倒臭い。
早くなんか食わせて立ち直らせなければ、こいつのこういう面倒を見るのは何故かいつも私なのだ。
｢……ん。｣
｢…お前はそういう所だよ。｣
ぐしゃぐしゃな顔を袖で拭き取り、私の荷物をさも当然かのように持ち上げて手を差し出す。
差し出された手を掴めば程よい力で引き上げられ、そのまま帰途の先を行く。
女として見ていない幼馴染にすらこういう事をしてしまう辺り、馬鹿というか真面目と言うか。
まぁ、そんな寧人だからこそ放置できない自分が居るのも事実なのだけれども。
｢寧人、ヒーロー科は楽しい？｣
｢……まぁ、A組は気に食わないけど。｣
｢あ、そ。｣
ふふ、と声を漏らせば笑うなよ。と低い声で制される。
｢まぁ、彼女作りも程々にな。｣
｢当然、僕はヒーローになるためにあの場所に居るんだぞ。｣
ふと思えば、この時間にこうして2人で並んで歩くのは凄く久しぶりだ。
朝は道が同じ故共に登校するが、帰り道に遭遇することは殆ど無い。
寧人は寧人で友人が居るだろうし、私は私で友人がいる……訳でも無いがまあいいだろう。
誰がボッチだ、少し馴染めないだけなのだよ、ばーか。
今日こうして愚痴を聞いているのは最寄りの駅を降りた時に電話で呼び出されたからだ。
それが無ければ今日だって、こんな風には歩いちゃいない。
｢何変な顔してるんだ。｣
｢……んー、寂しいなぁ？って。｣
｢？｣
何を言ってるんだ？と言いたげな顔で首を傾げる寧人に、なんでもないさと笑顔を作る。
いつの間にか高くなった奴の背が、厚みを増した体つきが、もうずっと見てきた寧人では無くなっているような気がする、なんて。
｢……何様だ。｣
ぼそ、と呟いた言葉はこの気持ちの元凶に届いていない。
私はただの幼馴染だ。
少し因縁はあるにせよ、彼女では勿論ないし、親友を名乗るほど親密な訳でもない。
たかが腐れ縁、奴からすれば、それだけ。
それで、それが。
1番良いのだ。
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ふわ(プロフ) - いゆ。さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！更新も話の進みもゆっくりにはなりますが、また見ていただけると幸いです……！ (2019年4月1日 14時) (
レス) id: fce397dad0 (このIDを非表示/違反報告)
いゆ。(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！物間くんも心躁くんも好きな私にとってはすごく好みな作品です…！更新頑張ってくださいね！ (2019年3月28日 18時) (レス) id: ee86b7a9ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわ | 作成日時：2019年2月9日 2時
