私、“天才”演じます。【及川徹】

演じます。31 ページ35

そうして持ち前の明るさで田中くんとは仲良くなれた。


5年生の時なんかは3人とも同じクラスで、

行動するのもほとんど一緒。


最近、梨花に元気がないような気もするけど…

梨花と田中くんの仲も縮まっているように見えたから気のせいだと思った。


このままいけば、2人はくっつくかもしれない。


それは嬉しい事のはずなのに


心から喜べずにいる自分がいた。




……そう。

田中くんと話してる内に、どんどん惹かれていってしまった。


でも梨花に隠しておくのは良心が痛んだ。



「……ねぇ梨花…？」


梨花には話しておかなきゃいけないと思って

ある日の帰り道、梨花に打ち明けることにした。


梨花「ん？なーに？」


「私ね、田中くんのこと…好き、になっちゃったんだ…。

協力するとか言ってたのにごめんねっ…。」


梨花「…そっ、か…。」


切なそうに無理して笑顔を作り、

うっすらと目に涙を浮かべて私を見るその姿に罪悪感を感じた。


「でも…！協力は続けるよ…！

梨花と約束したから…！」


梨花「……ありがとう。

…でももういいよ」


「……え…？」


梨花「…私ね、実は田中くんに告白したんだ。


でも…振られちゃったッ…！」


……うそ…。

もう付き合ってるんじゃないかってくらい仲良いのに…。


梨花「…好な人がいるんだってッ…。


私の事は、友達だとしか思ってなかったって…ッ」


梨花「だから、もういいよ？


…Aちゃんならきっと大丈夫」



涙を流しながら微笑む梨花は

この先絶対に忘れる事はないだろう。



そして後日。

田中くんに話があると言われて

人数の少ない放課後の図書室に呼び出された。



田中「……梨花ちゃんに相談してたんだけど…

Aちゃんの事、仲良くなってからずっと好きだったんだ…//

良かったら俺と…//」





その先は聞きたくなかった。


嬉しかった。


でも悲しかった。

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