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店員さん ページ4

「そういえば結婚おめでとう、昨年だよね? その時アメリカで仕事してて行けなかったんだ」



「知ってる〜電話したら英語が飛び交ってたから驚きたよ〜」



「相手はどんな人なの? 詳しく聞かせてよ」



「すっごくいい人だよ! 始めは一緒に生きていけるか不安だったけど…警察官だから職も安定してるし、美味しそうにご飯も食べてくれるし!」




彼女の話によると、父親が気に入っていた部下を出世させるための政略結婚だったらしい。



彼女は出世の手段として使われたが、熱心に彼女が愛を伝えた結果、今では人として恋人として妻として愛してもらっている、という。




「恋愛結婚になったわけね。幸せそうでよかった」




嬉しそうに最後の一口を頬張る姿を羨んだ。



私も、そろそろしたいかもなあ。



目を細めて将来を想像している、その時だった。




「お待たせしました、ハムサンドと特製カラスミパスタです」




聞いていて心地よい、柔らかな声がする。



その後に褐色の逞しい腕が目の前を通る。



その指先は優しく丁寧で、つい目で追ってしまう。



虚しい記憶なのに、私の目は求めてしまう。




「…ぃ、くん……」




そこにいたのは、一年前に、私が、



愛を注ぐことをやめた人だった。

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作者名:榊 リョウ | 作成日時:2019年8月13日 19時

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