太陽が似合う人 ページ46
先に車から降りた彼が、助手席側のドアを開け、手を差し出して降りる手伝いをしてくれる。王子さまみたいな見た目だからやけに似合う。彼はかっこよすぎだ。
ジト目で彼を睨んでいれば、彼は飄々とした態度で「何?」と訊く。絶対あたしが何を思っているかわかってて訊いてる。ムッとして彼のお腹を殴るが、鍛えられた彼の腹筋はびくともしなかった。
「ははっ、効かないなぁ」
「ゴムだから?」
「え?」
「あ、このネタ通じないんだった」
その後しつこく今のは何かと訊いてくる彼に「初恋の人の決めゼリフ」と教えてやると、彼はショックを受けたようだった。しょうがないだろ初恋なんだから、船に乗せてもらおうと奮闘したくらい好きだったんだ。
落ち込んでいる彼を引っ張って歩き出すと、早くも切り替えたらしい彼はあたしと手をつなぎ、指を絡めて目的地まで案内してくれる。
着いたのは真新しい墓の前だ。彼は墓の前で眩しそうに目を細めた。
「久しぶり、ヒロ」
情報の漏洩が危ぶまれ、今まで建てられなかったヒロくんのお墓は、黒の組織が壊滅したことによりようやく建てられた。
彼が必死に説得したらしい。上層部に食い下がり、許可がもらえるまで粘ったそうだ。「褒美で結婚の許可をもらえてなければ、そちらもそうするつもりだったんでしょう」と風見さんが苦く笑っていた。
墓の周りを掃除し、墓石に水をかけるかかけないかで揉めたあと、今日は暑いからかけることにまとまる。彼は水をかけて、墓石に向かって語りかけた。
「結婚することになったんだ、Aと」
「はじめまして、松七五三Aといいます。あっ、これからは降谷Aになります! 彼からよくヒロくんの話を聞いていました」
「Aとの二か月間の話、お前は信じてくれたな。『絶対にまた会える』って言ってくれただろ? あれ、当たったよ」
彼はヒロくんにあたしとのことを話したらしい。絶対に夢じゃなかったんだと訴えると、ヒロくんはあっさり信じたのだそう。『ゼロが言うならそうなんだろう。絶対にまた会えるよ』と言ってくれたんだと、彼は嬉しそうに話してくれた。
彼はそれから二言三言声をかけ、「もう行こうか」と言った。まだ来たばかりなのにいいのか訊くと、彼はまた来るからと言って笑った。そのうち通いつめそうだと指摘する。彼は気をつけるよと言った。
752人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……! 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした! (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです!とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです!(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……! 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました! (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました!次も付いていきます! (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月25日 21時