名探偵の失言 ページ26
ハムサンドを食べ終わって、そろそろお会計を済ませて帰ろうかとコナンくんと話していたところに、カランカラン、とベルが鳴って女子高生らが入ってきた。
入ってくるなり「安室さん!」と顔を輝かせ、対応する零くんに絡みつきに行く。零くんは困ったように「いらっしゃいませ」と微笑みながら、絡みつく女子高生たちをやんわりと引き剥がし、席に案内する。
やっぱり零くんモテモテなんだなぁ。ほけーっと眺めていると、コナンくんはこちらを窺うようにして尋ねた。
「……いいの?」
「いいって?」
「安室さん。付き合ってるんでしょ?」
「付き合ってる? あたしと透くんが?」
「……ちがうの?」
うん、と頷くと拍子抜けしたような顔をするコナンくんがおもしろくて、思わずふふふふと控えめに笑ってしまう。間違えてか笑われてか、それとも両方かの理由で恥ずかしくなったらしいコナンくんが、頬を染めて唇を尖らせる。「誰だって勘違いするよ」と言い訳じみた呟きに、軽く謝っておいた。
「だってツーショット写真いつも大事に持ってるんだもん」
「ロケットのこと?」
「そう。ボク、一度偶然見ちゃったことがあって」
コナンくんは、安室さんには内緒にしといてって言われたけどね、と飲み終わって氷しか入っていないグラスに刺さっているストローを噛む。そういえばさっきは気づかなかったけれど、彼が写真を持っているのはまずいんじゃなかったっけ? 公安の人たちは家族とも連絡が取れないって聞いたことがある。
もしバレたら、あたしは社会的に抹殺されるんじゃないか______真っ青になって震えていると、カランカランとまたベルが鳴って、コナンくんが「あっ」と小さく声を上げた。
つられて入口を向くと、入ってきたのはまた女子高生。ただし、普通の女子高生ではなく、主人公が絶対守りたいと思っている女子高生と、その親友たちだ。零くんに負けず主人公もかなりのハイスペック少年だが、幼馴染みの毛利蘭もなかなかハイスペックで、類は友を呼ぶってこのことか、と考えたことを思い出す。
「蘭姉ちゃんたちもきたんだねー!」
「蘭くんのお家で勉強会の予定だったんだけど、君がいるのが見えたからね」
「もうコナンくんったら、お夕飯食べられなくなっても知らないよ?」
「ガキンチョ、知らないお姉さんに迷惑かけてんじゃないわよ」
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えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……! 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした! (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです!とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです!(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……! 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました! (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました!次も付いていきます! (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月25日 21時