あの日、未来のトリプルフェイスを拾った。【名探偵コナン】

ポアロに行こう ページ15

運び込んでもらった荷物は、すぐに出て行く予定なので客室の隅にまとめたまま置いている。

ジョディさんがアメリカで買いすぎたせいでかなり時間がかかってしまった。さらにかなり重かったことだろう。止められなかったあたしにも非はあるが。

沖矢さんの姿の赤井さんが改めて説明をしてくれた。沖矢昴は赤井秀一の変装であること、大学院生の設定であること、あたしについていろいろわかっていること。

さらにそれらを踏まえて、赤井秀一のことは絶対に口外しないこと、黒の組織には接触しないこと。組織についてまだわかっていることがあるなら、言えることはすべて言ってほしいということ。



「……羽田浩司の事件の、『PTON』は解読されましたか」

「いや、まだだ」

「重要なのはもう一方。すみません、あたしにはこれしか言えません。あと組織のボスはたぶん、もう死んでいるはずの……いや、言わないでおきます。きっともうすぐわかるでしょうから」

「覚えておこう」



赤井さんはそれ以上追求しないでくれた。どれくらい干渉するべきかわからない。工藤優作氏のいいところを奪うわけにもいかないし、そもそもあたしは原作大好き勢だからできるだけ壊したくない……でも生きるためには情報が必要で。うーんさじ加減がよくわからん。

この話は終わりにしよう、と手を叩いた赤井さんに、「ポアロに行きたいです！」と提案した。



「ポアロ？ ……俺は店員に嫌われているから行けないが、ボウヤに声をかけてみよう。何かあったらすぐ連絡しろ」

「いえっさー！」



今更だが、赤井さんとジョディさんと連絡先を交換する。そのまま赤井さんがボウヤ＝主人公に連絡を入れ、赤井さんが淹れたコーヒーを楽しんでいるうちに彼が来た。

「こんにちは昴さん、ジョディ先生！」とにこやかに挨拶を終えると、今度はあたしを見つめて「お姉さんは？」と首をかしげる。あざとい。この子、自分の魅せ方をよくわかっている。絶対計算してやってる系の小悪魔男子だ。どれだけの女の子を泣かせてきたのだろうか。

小学一年生の姿の彼に目線を合わせるようにしゃがみ、「はじめまして」と微笑んだ。



「松七五三Aです。ジョディさんのお友達なの」

「そうなんだ！ ボクは江戸川コナン。よろしくね、Aお姉さん！」

「よろしく、コナンくん」



ニコニコ笑顔がまぶしい……。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す