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サンドイッチをもそもそ食べる。ふんふん、なかなか美味しいサンドイッチだ……でも、いつか零くんがつくったサンドイッチには格段に劣るな。零くんはすごく料理上手だったからなぁ、大きくなった今はもっともっと上手になっているんだろうなあ。いけないいけない、比べてしまうのはあたしの悪い癖だ。比べなくても美味しいんだから……、
あれっ? …………今あたし、このサンドイッチと零くんのサンドイッチを比べた?
今までは、自分でつくった料理と比べることが常だった。あたしがつくったほうが美味しい、あるいはあたしのよりも美味しい。それは自分の料理に自信があったから。でも今、あたしは零くんのサンドイッチと比べた。
「ふふ、……」
あたしは零くんがすごいとわかるとうれしく感じるんだなあ。
目の前に座るジョディさんに「どうしたの?」と訊かれたが、なんとなくこのことは自分の中だけに留めておきたくて、「なんでもないです」と返す。
でも零くんに会えたらそれを伝えたくて。早く零くんに会いに行かなきゃ、と気合を入れ直す。
「日本に来てから笑顔が増えたわね。日本が好きなのがわかるわ」
「……意識してなかったけど、そうかもしれません。日本は、大好きな人が守ってる国なので」
「あら。なぁに、ボーイフレンド?」
「そんなんじゃないですよ。それにあたし、彼氏いたことないです」
中学を卒業してからずっと料理一筋で、数年前までは休みという休みもなかったから、恋人なんていたことがなかった。好きな人はいたけれど、今思えばそんなに好きじゃなかったんだと思う。
ジョディさんは「ウソでしょ?!」と大袈裟に驚いてみせて、「それならシュウなんてどう?」と薦めてくる。仮にも元カレを薦めるってどうなんだ。もちろん丁重にお断りさせていただく。
イイ男でしょ、優秀な捜査官なのよ、と赤井さんのいいところを挙げていくジョディさんを止めて、さりげなく話題を変えた。
「あたしの拠点は?」
「ああ、それねえ。シュウに確認してみたんだけど、彼が居候させてもらってる家はどうかって。もういろいろ知られてるし知ってるし、変装がバレたところで問題ないそうよ」
「えっ何考えてるんですかあの人。寝不足???」
「シュウはいつも目にクマをつくってるわ」
私も反対、と言うジョディさんはちゃんと常識人だった。
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えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……! 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした! (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです!とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです!(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……! 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました! (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました!次も付いていきます! (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月25日 21時