* ページ33
二人は同時にあたしを見つけ、同時に「A!」と叫んだ。零くんはそれすらもムカつくようで、赤井さんを見ては睨みつける。今すぐにでも噛みつきそうだ。
「A、もう帰りましょう!」
「A、もう少し待っていてくださいね。じきに彼を帰しますから」
「黙れ沖矢昴! Aの名を軽々しく呼ぶな!!」
「私がAをなんと呼ぼうとあなたには関係のないことでしょう、ねえA?」
息をするように喧嘩をする二人に、あたしは呆れを通り越して感動を覚えていた。なんでそんなにくだらないことで喧嘩できるのだろうか。若いときのあたしでももっとこう、うまい棒踏みつぶされたからとかでしか喧嘩しなかったぞ。……あたしのがくだらないことだったわ。
というか赤井さんは完璧に面白がっている。ちょっと楽しんでいる。零くんもそれに気づいているからこそ余計に噛みついているのだ。何を考えているんだか。
あたしは二人をスルーして、またコナンくんの隣に座る。彼はカレーのおかわりをしていた。うれしくて、ちょっとだけ撫でる。無反応。あたしももう一度ぬるくなってしまったカレーを食べ始める。
「なんで下りてきたんですか、A。せっかく逃がしてやろうと思ったのに」
赤井さん。さっきの頷きって逃げろって意味だったんかーい。荷物とってきていいよって頷きじゃなかったんかーい。
「逃がすだと? ああ逃がすとも、ここからな! Aはこんなところにいるべきじゃない!」
零くん。こんなところって、ここ工藤邸だよ……? こんなところなんて言えるような場所じゃないけど、零くんなりに
差がひどい。
「そもそもAが泊まると言っているんですから、あなたが口出しすることじゃないでしょう」
「ハッ、どうかな。Aが泊まると言ったのもホテルがとれていなかったのも、すべて根回しされていたんじゃなければ、確かに僕の口出しすることじゃない」
えっ根回しされてたの?? でもジョディさんたちの焦り具合は演技には見えなかったし……みんな赤井さんの掌の上だったってわけか! 恐ろしいぜFBI!
751人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……! 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした! (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです!とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです!(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……! 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました! (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました!次も付いていきます! (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月25日 21時